
フィルター装置・除塵ユニット(Air Filter Unit)は、圧縮空気中に含まれる水分・油分・ゴミ・微粒子などの不純物を除去する装置です。
クリーンな空気を供給することで、エアシリンダやバルブの寿命を延ばし、安定した動作を保ちます。
この記事では、エアフィルターの仕組み・種類・用途・代表メーカーをわかりやすく解説します。
フィルター装置・除塵ユニットとは?(基礎知識)
コンプレッサで圧縮された空気には、水分・オイルミスト・金属粉・錆などが混入しています。これらの不純物は空圧機器の摩耗・詰まり・作動不良の原因となるため、エアラインの途中にフィルター装置を設置して清浄化します。
フィルター装置は、用途や清浄度に応じて複数段階で構成されることが一般的です。(例:一次フィルター → ミクロフィルター → 活性炭フィルター)
構造と仕組み
エアフィルターの基本構造は以下の通りです。
- ハウジング:圧縮空気を通す金属または樹脂製の外殻。
- フィルターエレメント:ろ材(繊維・メッシュなど)で構成され、粒子やミストを捕集。
- ドレンボウル:除去された水分・油分を貯留し、自動または手動で排出。
- ドレンバルブ:水や油を外部に排出する弁。自動排出タイプが主流。
- 圧力計:フィルターの目詰まり状況を確認。
動作原理
圧縮空気がフィルターを通過する際、粒子がろ材に衝突・付着し、同時に水分や油分が凝縮して分離・沈降します。
分離された不純物はドレンとして排出され、清浄空気のみが下流へ送られます。
フィルター装置の種類
① 一般フィルター(除塵フィルター)
空気中の固形粒子(錆・粉塵・金属粉)を除去。
最も基本的なフィルターで、1〜5μm程度の粒子を捕集します。
② ミクロフィルター(ミストフィルター)
オイルミストや微粒子を除去する高精度フィルター。
捕集精度は0.01〜0.3μm程度。空圧機器や塗装設備に使用されます。
③ 活性炭フィルター
臭気・油蒸気などを吸着し、クリーンルームや食品・医薬分野の空気を浄化。
エアブローや分析機器用空気の最終段階で使用されます。
④ スーパー精密フィルター(ULPA・HEPA相当)
微粒子を99.99%以上除去する高性能タイプ。電子・医薬・半導体工場などで使用されます。
⑤ ドレンセパレータ(遠心分離式)
圧縮空気を旋回させて遠心力で水分・油分を分離。
フィルター前段に設置して寿命を延ばします。
用途
- FAライン・エアシリンダ・ソレノイドバルブの保護
- 塗装・コーティング工程でのクリーンエア供給
- 食品・医薬・電子部品製造における除塵・除臭
- クリーンルーム・分析装置の乾燥・無塵空気供給
- 吸着式エアドライヤの前後段の空気浄化
選定のポイント
- 必要な清浄度(粒径μm・露点温度)
- 風量(L/min)と使用圧力(MPa)
- 設置位置(前段・中間・最終)
- フィルターエレメントの交換周期・コスト
- ドレン排出方式(手動・自動・電磁式)
主なメーカーと特徴
SMC株式会社
世界最大の空圧機器メーカー。AFシリーズを中心に、除塵・ミスト・活性炭フィルターをラインナップ。モジュラー接続が容易。
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CKD株式会社
高精度な空圧フィルターを多数展開。FRLユニットとの組み合わせで安定供給を実現。
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日本ピスコ株式会社(PISCO)
小型・樹脂製ハウジングが特徴。分析装置や精密機器向けに豊富なラインナップ。
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アネスト岩田株式会社
コンプレッサ周辺機器としてドレンセパレータ・精密フィルターを展開。冷凍式ドライヤとの組み合わせで空気品質を総合管理。
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オリオン機械株式会社
高性能エアフィルターをエアドライヤと統合展開。省エネ設計・耐久性に優れる。
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メーカー比較表
メーカー | 主力製品 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|---|
SMC | AF・AFM・AMシリーズ | 世界標準・モジュラー化 | FAライン・制御機器 |
CKD | W4000・AFRシリーズ | 高精度・信頼性 | 自動機・クリーン設備 |
ピスコ | FA・MFシリーズ | 小型・軽量・透明ボディ | 実験装置・研究機器 |
アネスト岩田 | FDR・AFDシリーズ | 冷凍ドライヤ連携・強力除水 | コンプレッサ後段 |
オリオン機械 | AF・ADFシリーズ | 省エネ・長寿命設計 | 工場設備・分析装置 |
購入先・通販サイト
Q&A
Q. エアフィルターはどこに設置する?
A. 一般的には「コンプレッサ → エアドライヤ → フィルター → 空圧ユニット」の順に配置します。
用途により複数段のフィルターを直列に設置する場合もあります。
Q. フィルターの交換時期は?
A. 使用環境によりますが、通常は6〜12か月ごと、または圧力損失が上昇した時点が目安です。
Q. ドレン排出は自動でも良い?
A. はい。自動ドレンバルブを使うと排出忘れを防げます。
水分が滞留すると圧縮空気の品質が著しく低下します。
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