
熱交換器(Heat Exchanger)は、液体や気体の間で熱エネルギーを効率的に移動させる装置です。
工場設備やプラントでは、冷却・加熱・温調などあらゆるプロセスに欠かせない存在で、冷却水・オイル・空気・蒸気など、さまざまな媒体間で熱をやり取りします。
この記事では、熱交換器の仕組み・種類・用途・代表メーカーをわかりやすく解説します。
熱交換器とは?(基礎知識)
熱交換器(Heat Exchanger)は、異なる温度の流体(液体・気体)の間で熱を移動させる装置です。
冷却や加熱の効率を高めることで、装置のエネルギー効率を向上させ、安定した温度制御を実現します。
例えば、冷却水でオイルを冷やしたり、蒸気で液体を加熱したりといった用途に使用されます。
冷却装置(チラー)や温調ユニット、ボイラーなどの内部にも組み込まれています。
仕組みと構造
熱交換器は、主に以下のような構造で構成されています。
- 熱交換面:熱を伝える金属板やチューブ。材質はステンレス、銅、チタンなど。
- 流体通路:高温側と低温側の流体を流す経路。直接混ざらないよう設計。
- シェル・カバー:流体を密閉し、圧力に耐える構造体。
- フィン・プレート:表面積を拡大して熱伝達を高める要素。
動作原理
高温の流体(熱源)から低温の流体(冷却側)へ熱が移動します。
伝熱面を介して熱エネルギーが移動するため、流体同士は混ざりません。
この仕組みにより、効率的に冷却・加熱が行えます。
熱交換器の種類
① プレート式熱交換器
薄い金属プレートを多数重ね、流体を交互に通す構造。
高い熱伝達効率とコンパクトさが特徴で、冷却水やオイル冷却に広く使用されます。
② シェル&チューブ式熱交換器
円筒状のシェル内に多数のチューブを配置。
チューブ側とシェル側に異なる流体を流して熱交換を行います。
高圧・大流量に対応し、プラント・化学設備などに採用されています。
③ フィンチューブ式熱交換器
チューブ外側にフィン(羽根)を取り付けて表面積を増加。
空気冷却器やコンデンサ、ラジエーターなどに用いられます。
④ 空冷式熱交換器(エアクーラー)
空気を冷媒として使用。ファンで風を送り、冷却水を使わず熱を放出します。
屋外設置や水資源の節約が可能です。
⑤ ダブルチューブ式
二重管構造で、内管と外管に異なる流体を流すタイプ。
構造がシンプルでメンテナンスが容易です。
用途
- 冷却水・潤滑油・油圧オイルの冷却
- 金型・装置の温調制御
- ボイラー・チラー・温調ユニット内の熱交換
- 化学反応・食品製造プロセスの温度管理
- 廃熱回収・省エネシステム
選定のポイント
- 冷却/加熱対象の種類(オイル・水・空気・蒸気など)
- 必要な熱交換量(kW)と流量
- 使用温度・圧力範囲
- 設置スペース・メンテナンス性
- 材質(ステンレス・銅・チタンなど)
主なメーカーと特徴
株式会社日阪製作所
プレート式熱交換器の国内大手。食品・化学・空調用途で豊富な実績。
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アルファ・ラバル株式会社(Alfa Laval)
スウェーデン発のグローバルメーカー。高効率プレート式熱交換器を世界展開。
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東京熱交換機株式会社
シェル&チューブ式・フィンチューブ式など幅広いラインアップを展開。
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日立産機システム株式会社
工場設備向けの空冷式・水冷式ユニットを製造。制御盤一体型モデルも展開。
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メーカー比較表
メーカー | 主力製品 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|---|
日阪製作所 | プレート式熱交換器 | 高効率・衛生設計 | 食品・化学 |
アルファ・ラバル | コンパクトプレート型 | グローバル対応・省エネ | 空調・プロセス |
東京熱交換機 | シェル&チューブ式 | 耐圧・耐食性に優れる | 工場設備 |
日立産機 | 空冷式ユニット | 制御一体・省スペース | FA・産業設備 |
購入先・通販サイト
Q&A
Q. 熱交換器とチラーの違いは?
A. 熱交換器は「熱を移す装置」、チラーは「冷却源を持つ循環装置」です。
チラーの中に熱交換器が組み込まれている場合が多いです。
Q. オイル用と水用では何が違いますか?
A. オイルは粘度が高く熱伝導率が低いため、伝熱面積を大きく設計します。
水冷式は熱交換効率が高く、装置の冷却に適しています。
Q. 材質の選定ポイントは?
A. 一般的にはステンレスが多く、腐食性流体にはチタンや銅合金を選定します。
冷却水に塩分が含まれる場合は耐食性を重視します。
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