
射出成形機(Injection Molding Machine)は、プラスチック樹脂を加熱・溶融し、金型に高圧で射出して成形する機械です。
製品の量産性に優れ、精密部品から大型製品まで幅広く対応できることから、自動車・家電・医療機器などあらゆる分野で利用されています。
この記事では、射出成形機の原理・種類・構造・代表メーカーを詳しく解説します。
射出成形機とは?(基礎知識)
射出成形機は、プラスチック原料(ペレット状)を加熱して溶融し、金型に圧入して冷却・固化させることで製品を成形する装置です。
1サイクルの中で、溶融 → 射出 → 保圧 → 冷却 → 型開き → 製品取出しといった工程を自動で繰り返します。
金型を交換することで多様な製品を効率的に生産できます。
射出成形の原理
スクリュー内部でプラスチックを加熱・混練し、ノズルを通して高圧で金型に射出します。
金型内部で樹脂が冷却・固化することで、目的の形状を持った製品が得られます。
射出圧力・温度・時間を精密に制御することで、寸法精度や外観品質を維持します。
射出成形機の主な種類
- 油圧式射出成形機:油圧シリンダーでスクリューや型締装置を駆動。大型製品や高圧成形に適します。
- 電動式射出成形機:サーボモーター駆動で精密・省エネ。小型・精密部品向けに主流化。
- ハイブリッド式射出成形機:油圧と電動の利点を組み合わせたタイプ。省エネ・高出力を両立。
- 竪型射出成形機:金型が縦方向に配置され、インサート成形などに適します。
- 二色・多色成形機:異なる樹脂を連続射出し、2色または複合素材製品を成形。
構造と主要部品
- スクリュー・シリンダー:原料を溶融・混練する心臓部。回転制御で均一加熱。
- ノズル:溶融樹脂を金型に射出する部分。温度管理が重要。
- 型締装置:金型を高圧で締め付ける機構。電動・油圧の方式あり。
- 金型:製品形状を決定する部分。精密加工が要求されます。
- 制御装置:温度・圧力・速度など射出条件をプログラム制御。
射出成形機の用途・活用例
- 自動車部品(バンパー・内装パネル・コネクタ)
- 家電製品(筐体・ハウジング)
- 医療機器(ディスポーザブル製品・ケース類)
- 電子部品(コネクタ・ソケット)
- 日用品・容器・キャップなどの大量成形
代表的な射出成形機メーカーと特徴
住友重機械工業株式会社(SUMITOMO HEAVY INDUSTRIES)
電動式射出成形機の国内トップメーカー。精密・省エネ・静音性に優れ、グローバル展開も強力。
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ファナック株式会社(FANUC)
CNC技術を応用した電動射出成形機「ROBOSHOT」を展開。自動化ラインとの親和性が高い。
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東芝機械株式会社(現・芝浦機械株式会社 / SHIBAURA MACHINE)
大型油圧機からハイブリッド機まで幅広く展開。高剛性・耐久性に優れています。
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日精樹脂工業株式会社(NISSEI PLASTIC INDUSTRIAL)
コンパクト設計と使いやすさに定評。竪型射出成形機のパイオニアでもあります。
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東洋機械金属株式会社(TOYO MACHINERY & METAL)
高精度な電動射出成形機を展開。小型製品・光学部品などの精密成形に対応。
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メーカー比較表
メーカー名 | 主な特徴 | 代表機種例 | 対象ユーザー |
---|---|---|---|
住友重機械工業 | 電動式・高精度・省エネ | SEEV-Aシリーズ | 自動車・電子部品業 |
ファナック | 自動化対応・精密制御 | ROBOSHOTシリーズ | 精密成形・量産ライン |
芝浦機械 | 大型・油圧・ハイブリッド対応 | ISシリーズ | 大型部品メーカー |
日精樹脂工業 | 竪型・汎用機・小型対応 | FNXシリーズ | 成形加工業全般 |
東洋機械金属 | 精密成形・光学用途に強い | Si-6シリーズ | 電子・医療業界 |
導入時のポイント
- 成形品のサイズ・樹脂種類・ショット量に応じた型締力を選定
- 生産サイクルと省エネ性のバランスを考慮
- 金型の交換性や操作性を確認
- 冷却装置・乾燥機など周辺機器との連携を検討
- 品質安定化のための温度・圧力制御機能を確認
WEBでの購入・比較
小型射出成形機や実験用モデルは、通販サイトでも一部取り扱いがあります。
Amazonで射出成形機を探す
楽天市場で射出成形機を探す
Yahoo!ショッピングで射出成形機を探す
Q&A
Q. 電動式と油圧式の違いは?
A. 電動式は精密・省エネで小型成形に有利、油圧式は高圧・大型部品に強みがあります。
Q. 射出成形の精度を高めるには?
A. 温度・圧力・射出速度の安定制御が重要です。サーボ制御や樹脂温調装置を活用します。
Q. 金型のメンテナンスは必要?
A. はい。定期的なクリーニング・潤滑・冷却水路の点検が品質維持に不可欠です。