
プラズマ切断機(Plasma Cutting Machine)は、高温のプラズマアークを用いて金属を溶融・吹き飛ばして切断する加工機です。
導電性のある金属(鉄・アルミ・ステンレスなど)を高速かつ厚板まで切断できるため、製造・建設・造船などの現場で広く使われています。
レーザー切断よりもコストが低く、ウォータージェットよりも高速であることから、汎用的な金属切断手段として定着しています。
この記事では、プラズマ切断機の仕組み・種類・構造・代表メーカーを詳しく解説します。
プラズマ切断機とは?(基礎知識)
プラズマ切断機は、ガスに電流を流して高温のプラズマ状態を発生させ、その熱エネルギーで金属を溶かし、圧縮空気などで吹き飛ばして切断する装置です。
「アーク溶接」の技術を応用したもので、厚板金属の高速切断が可能です。
また、熱加工の中でも比較的歪みが少なく、コストパフォーマンスに優れています。
プラズマ切断の原理
プラズマは、ガスが高温によってイオン化し、電子とイオンが混在する状態です。
プラズマ切断機では、ノズル内で電気アークを発生させ、ガスを高温・高エネルギーのプラズマ状態に変換します。
このプラズマ流を噴射して金属を瞬時に溶融・除去します。
切断後は、アシストガスによって溶融金属を吹き飛ばし、滑らかな切断面を得ます。
プラズマ切断機の主な種類
- 空気プラズマ切断機:圧縮空気を使用する一般的なタイプ。軽量で扱いやすく、現場作業に最適。
- 高周波プラズマ切断機:高出力アークにより厚板切断が可能。工場設備や大型構造物の製作に使用。
- CNCプラズマ切断機:NC制御によって自動で精密切断。量産・大型部材の加工ラインに最適。
- 水中プラズマ切断機:水槽内で切断を行い、切断時の騒音・煙を低減。環境性に優れる。
構造と主要部品
- 電源装置:高電圧アークを安定供給し、プラズマを発生させる心臓部。
- トーチ:プラズマを生成し、噴射方向を制御する部分。消耗部品の定期交換が必要。
- ノズル・電極:プラズマの形状を整える重要部品。銅・タングステン系材質が使用されます。
- ガス供給装置:空気・酸素・アルゴンなどを圧送し、アーク形成を補助します。
- 制御装置(CNC):自動切断機では、CADデータをもとにトーチ位置を制御。
プラズマ切断機の用途・活用例
- 鉄・ステンレス・アルミなど金属板の切断
- 建築鉄骨・造船・車両製造・橋梁部材の加工
- 配管やフレームなどの開口・形状切断
- 製缶・金属構造物の溶接前切断
- プレス金型・試作部品の前加工
代表的なプラズマ切断機メーカーと特徴
パナソニック株式会社(Panasonic)
溶接・切断機器の総合メーカー。空気プラズマ切断機の小型・軽量モデルが人気。
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ダイヘン株式会社(DAIHEN)
高周波プラズマ切断技術に強みを持つ日本の大手メーカー。産業ロボットとの連携にも対応。
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林田電機製作所(HIDEN)
精密CNCプラズマ切断機を製造。厚板加工やステンレス切断で高い評価を得ています。
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Hypertherm(ハイパーサーム)
アメリカの世界的プラズマ切断機メーカー。業界標準ともいえる高性能トーチを開発。
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コマツ産機株式会社(KOMATSU INDUSTRIES)
建設・重機部門でのノウハウを活かした高剛性・高出力プラズマ切断機を展開。
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メーカー比較表
メーカー名 | 主な特徴 | 代表機種例 | 対象ユーザー |
---|---|---|---|
パナソニック | 軽量・空気プラズマ・高コスパ | CUT STARシリーズ | 現場作業・溶接業 |
ダイヘン | 高周波・産業ロボット対応 | DTシリーズ | FA・製造業全般 |
林田電機 | CNC制御・高精度切断 | PCシリーズ | 金属加工・厚板加工業 |
Hypertherm | 高出力・グローバルシェアNo.1 | Powermaxシリーズ | 重工業・造船業 |
コマツ産機 | 高剛性構造・厚板対応 | TLシリーズ | 大型鉄骨・建機メーカー |
導入時のポイント
- 切断対象(金属種類・厚さ)に応じて電流値・ガス種類を選定
- 消耗品(ノズル・電極)の交換サイクルとコストを確認
- CNC制御や自動トーチ高さ調整機能の有無をチェック
- 排煙処理・安全装置の有無を確認
- 現場用ポータブル機か、固定設備型かを選択
WEBでの購入・比較
家庭用・業務用プラズマ切断機は通販サイトでも幅広く取り扱いがあります。
Amazonでプラズマ切断機を探す
楽天市場でプラズマ切断機を探す
Yahoo!ショッピングでプラズマ切断機を探す
Q&A
Q. プラズマ切断とレーザー切断の違いは?
A. プラズマはアーク熱で溶かして切る方式、レーザーは光エネルギーで蒸発させる方式です。厚板やコスト重視ならプラズマが有利です。
Q. ステンレスやアルミも切断できますか?
A. はい。アシストガスを適切に選べば、鉄・ステンレス・アルミいずれも切断可能です。
Q. プラズマ切断機のメンテナンスは?
A. ノズル・電極の摩耗が早いため、消耗部品の定期交換が重要です。エア圧・冷却水も適正に保つ必要があります。