
ウォータージェット加工機(Water Jet Cutting Machine)は、高圧の水流(ウォータージェット)をノズルから噴射し、素材を切断・加工する装置です。
金属・ガラス・石材・樹脂・ゴムなど、幅広い材料を「熱変形なし」で加工できるのが特徴です。
レーザー加工や放電加工が苦手とする素材にも対応でき、環境負荷の少ない加工法として注目されています。
この記事では、ウォータージェット加工機の仕組み・種類・構造・代表メーカーを詳しく解説します。
ウォータージェット加工機とは?(基礎知識)
ウォータージェット加工機は、水を超高圧ポンプで加圧(最大400MPa以上)し、微細ノズルから高速噴射して素材を切断する装置です。
加工時に熱を発生しない「コールドカット方式」のため、熱影響による変形・変色が発生しません。
金属だけでなく、ゴム・ガラス・石材・複合材・食品など、多様な素材に対応可能です。
ウォータージェット加工の原理
高圧ポンプで加圧された水が、微細なノズルを通過することで超音速の水流(マッハ3以上)となり、対象物に衝突して切断します。
硬い素材には、水に研磨剤(ガーネットなど)を混ぜた「アブレシブジェット方式」が使用されます。
この方式により、金属やセラミックスなども高精度に切断できます。
ウォータージェット加工機の主な種類
- 純水ジェット加工機:水のみを噴射。柔らかい素材(樹脂・ゴム・食品など)の切断に使用。
- アブレシブジェット加工機:研磨剤を混入して金属・石材など硬質材を切断。最も一般的なタイプ。
- 3Dウォータージェット:ノズルを多軸制御し、立体的・傾斜角度のある切断を実現。
- 小型ウォータージェット:教育・試作・研究用。加工対象が小さく、省スペースで設置可能。
構造と主要部品
- 高圧ポンプ:水を400MPa前後まで加圧。油圧駆動または電動駆動が主流。
- ノズルヘッド:高耐久タングステンカーバイド製が一般的。水流を微細に整流します。
- 研磨剤供給装置:ガーネットなどの研磨剤を一定量で混入し、切断能力を高めます。
- CNC制御ユニット:加工パスを自動制御し、CAD/CAMデータとの連携も可能。
- テーブル・吸水槽:切断時の水流と切り屑を吸収し、再循環する構造。
ウォータージェット加工機の用途・活用例
- 鉄・アルミ・ステンレスなど金属板の切断
- ガラス・セラミック・石材などの非金属加工
- 樹脂・ゴム・カーボンなどの複合材料切断
- 食品・医療機器部品などの衛生的切断
- 金型や試作部品の熱影響なし加工
代表的なウォータージェット加工機メーカーと特徴
オーエム製作所(OMAX / OMAX-JET)
アメリカのウォータージェット専業メーカー。高精度・コンパクト設計で世界的シェアを誇ります。
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Flow International(フロー・インターナショナル)
ウォータージェット技術のパイオニア。航空・自動車・建設業界などに幅広く採用。
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スギノマシン株式会社(SUGINO MACHINE)
日本国内の代表メーカー。高圧洗浄・剥離技術を応用した独自構造が強み。
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新東工業株式会社(SHINTO)
研磨剤制御や高圧ポンプ技術に優れたウォータージェット加工機を展開。自動化にも対応。
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ヤマザキマザック株式会社(YAMAZAKI MAZAK)
3Dウォータージェット加工機をラインナップ。複合加工機との融合で幅広い用途に対応。
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メーカー比較表
メーカー名 | 主な特徴 | 代表機種例 | 対象ユーザー |
---|---|---|---|
OMAX | 高精度・小型モデル豊富 | OMAX MAXIEMシリーズ | 研究・試作・金型業 |
Flow International | 世界最大手・大型対応 | Machシリーズ | 自動車・建設業界 |
スギノマシン | 国産・高信頼性設計 | JET CLEANERシリーズ | 一般製造業・金属加工業 |
新東工業 | 研磨剤制御・自動化対応 | WJシリーズ | FA・自動車部品メーカー |
ヤマザキマザック | 3D対応・複合加工統合 | VTC-WJシリーズ | 多品種少量・高付加価値加工業 |
導入時のポイント
- 加工対象素材(金属・非金属)に合わせて純水/アブレシブ方式を選定
- ポンプ圧力(MPa)・ノズル径・加工速度を確認
- 研磨剤供給装置のメンテナンス性を重視
- CAD/CAMデータとの連携機能をチェック
- 省エネ・リサイクル水対応モデルを検討
WEBでの購入・比較
中古・小型ウォータージェット加工機は、通販サイトでも取り扱いがあります。
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Q&A
Q. ウォータージェットとレーザー加工の違いは?
A. レーザーは熱で溶かして切断するのに対し、ウォータージェットは水の衝撃で削るため、熱影響がありません。
Q. どのくらいの厚さの金属を切れますか?
A. 出力によりますが、アブレシブ方式ならステンレス・鉄板で50mm程度まで対応可能です。
Q. 研磨剤を使うとメンテナンスは大変ですか?
A. 消耗品(ノズル・供給管)の交換は必要ですが、リサイクル装置を導入すれば負担を軽減できます。