油圧設備で「シリンダが戻らない」「バルブが切り替わらない」といった不具合が発生する場合、原因として見落とされがちなのが背圧です。
背圧は意図せず発生すると、油圧回路全体の動作に大きな悪影響を与えます。
この記事では、油圧配管における背圧の意味、発生要因、誤動作につながるメカニズム、対策方法をわかりやすく解説します。
背圧とは?
背圧とは、
油圧回路の戻り側(リターン側)に意図せず発生する圧力
を指します。
本来、戻り配管はできるだけ低圧であることが望まれますが、流路抵抗などにより圧力が残ると背圧となります。
なぜ背圧が問題になるのか?
背圧が高くなると、次のような問題が発生します。
- シリンダの復帰が遅い・止まる
- 切換弁が完全に戻らない
- ブレーキが解除されない
- 油温上昇・効率低下
背圧が発生する主な原因
① 戻り配管の圧力損失
- 配管径が細い
- 配管が長い
- エルボ・継手が多い
② フィルタの目詰まり
戻り側フィルタの抵抗増大。
③ 戻りラインの合流
複数回路の合流で流量集中。
④ 背圧弁・絞りの存在
意図せず背圧が残るケース。
背圧による代表的な誤動作
- シリンダが最後まで戻らない
- 比例弁・サーボ弁の制御不良
- チェック弁が閉じない
- ブレーキ解放不良
背圧の目安と許容値
回路によりますが、一般的には
- 戻り側圧力:0.2MPa 以下が望ましい
- サーボ・比例弁回路:より低圧が必要
メーカー仕様を必ず確認してください。
背圧を抑えるための対策
① 戻り配管径の見直し
太径・短距離化が基本。
② 戻りフィルタの管理
目詰まりは背圧の大敵。
③ 戻りラインの分離
重要回路は単独でタンクへ戻す。
④ 背圧弁の適正設定
必要な場合のみ最小限に設定。
背圧とサポート圧の違い
混同されやすいポイントです。
| 項目 | 背圧 | サポート圧 |
|---|---|---|
| 発生意図 | 意図しないことが多い | 意図的に与える |
| 役割 | 誤動作の原因 | 制御安定化 |
現場でのチェックポイント
- 戻り側圧力計の設置
- 油温上昇の有無
- 復帰動作の遅れ
- フィルタ差圧確認
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まとめ
背圧は、油圧回路の誤動作を引き起こす代表的な隠れ要因です。
- 戻り側の圧力上昇が原因
- 配管・フィルタ管理が重要
- 低背圧設計が安定動作の鍵
不具合発生時は、必ず背圧を疑いましょう。












