PID制御を導入した際に「制御が不安定になる」「出力がビクビクする」といった症状が出る場合、その原因の多くが微分ノイズです。
特に現場では、D(微分)成分がトラブルの引き金になるケースが少なくありません。
この記事では、PID制御における微分ノイズの正体、なぜ発生するのか、どんな悪影響があるのか、実務での対策方法をわかりやすく解説します。
PID制御における微分(D)成分とは?
PID制御のD成分は、
偏差の変化速度(時間微分)に応じて出力を調整する制御要素
です。
- P:現在の偏差
- I:過去の偏差の積分
- D:将来の変化を予測
D成分は、応答を速くし、オーバーシュートを抑える役割を持ちます。
微分ノイズとは?
微分ノイズとは、
センサ信号に含まれる微小なノイズが、微分処理によって大きく増幅されてしまう現象
を指します。
微分は「変化」を強調するため、ノイズに極めて敏感です。
なぜ微分成分はノイズを拾いやすいのか?
① センサ信号に必ずノイズが含まれる
温度・圧力・位置センサには微小な揺らぎがあります。
② 微分は高周波成分を強調
ノイズは高周波成分のため、D成分で増幅されます。
③ デジタル制御の量子化誤差
サンプリング周期による影響も加わります。
微分ノイズによる典型的な症状
- 出力が細かく振動する
- アクチュエータがビビる
- サーボ・バルブの異音
- 制御が不安定になる
D成分を使いすぎるとどうなる?
- ノイズ感度が極端に高くなる
- 制御出力が荒れる
- 機械的摩耗が進行
現場では「Dを入れすぎない」ことが重要です。
微分ノイズへの実践的対策
① D成分を弱める・使わない
多くの装置では PI 制御で十分です。
② 微分先行型(D on PV)を使う
目標値変化の影響を減らせます。
③ ローパスフィルタの使用
D成分にフィルタをかけることで高周波ノイズを抑制。
④ センサ信号の品質向上
- シールド配線
- グランド分離
- ノイズ対策
PID調整時の実務的な考え方
- まずP・Iで安定化
- Dは最小限で追加
- ノイズが出たらDを疑う
サーボ制御との関係
サーボ制御では、速度フィードバックが事実上のD成分となるため、別途Dを入れない設計が多くなります。
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まとめ
PIDの微分成分は強力ですが、同時に扱いが難しい要素です。
- 微分はノイズを増幅しやすい
- 現場ではPI制御が主流
- Dは最小限で使うのが基本
制御が不安定なときは、まず微分ノイズを疑いましょう。












