ベアリング・回転軸の設計で必ず理解しておくべき概念が、ラジアル荷重(Radial Load)とアキシアル荷重(Axial Load)です。
この2つの荷重方向を誤ると、異常摩耗・発熱・寿命低下・早期破損の原因になります。
この記事では、ラジアル荷重とアキシアル荷重の違い、ベアリングとの関係、選定ポイントまで初心者にも分かりやすく解説します。
ラジアル荷重とは?
ラジアル荷重(Radial Load)は、軸の半径方向(横方向)に加わる荷重です。
具体例:
- プーリやベルトの張力
- ギア噛み合いによる側圧
- モータ軸の回転時に発生する遠心力
- ファンやブロワの回転による荷重
多くの回転機械では、このラジアル荷重が主体となります。
アキシアル荷重とは?
アキシアル荷重(Axial Load)は、軸の軸方向(縦方向)に加わる荷重です。
具体例:
- スラスト方向にかかる押し付け力
- ギアのヘリカル形状によるスラスト力
- ファンの吸い込み・吐出方向の力
- ネジ締付けなど軸方向の引張・圧縮荷重
「スラスト荷重」と呼ばれることもあります。
ラジアル荷重とアキシアル荷重の違い

| 項目 | ラジアル荷重 | アキシアル荷重 |
|---|---|---|
| 方向 | 軸に対して垂直 | 軸に対して平行 |
| 例 | ベルト張力・遠心力 | 押し付け力・スラスト力 |
| ベアリング負担 | 主に外輪側 | 主に内輪側 |
| 使用ベアリング | 深溝玉軸受・円筒ころ | アンギュラ・スラスト軸受 |
どのベアリングがどの荷重に強い?(用途別)
ラジアル荷重に強いベアリング
- 深溝玉軸受
- 円筒ころ軸受
- スフェリカル軸受
アキシアル荷重に強いベアリング
- アンギュラ玉軸受
- スラスト玉軸受
- スラストころ軸受
複合荷重(ラジアル+アキシアル)向け
- アンギュラ玉軸受(組み合わせで両方向に対応)
- テーパころ軸受
機械の荷重方向により、最適な軸受が全く異なります。
荷重方向を誤るとどうなる?
- 異常発熱
- 摩耗の急増
- 回転ムラ・振動
- 転動体の欠損
- 寿命低下(L10寿命が極端に短くなる)
ベアリング破損の多くは、荷重方向の理解不足が原因です。
荷重方向の確認方法
- ベルト・チェーンの張り方向を見る
- ギアのねじれ角(ヘリカル or スパー)を確認
- ファン・ブロワの吸い込み方向を確認
- モータと負荷の軸芯ずれ(アキシアル力を生む)
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まとめ
ラジアル荷重とアキシアル荷重は、ベアリング選定における最重要項目です。
- ラジアル荷重=軸の横方向の力
- アキシアル荷重=軸の縦方向(スラスト)
- 荷重方向により適したベアリングが変わる
- 間違った選定は摩耗・発熱・破損につながる
荷重の向きを正しく理解することで、ベアリング寿命を大幅に伸ばすことができます。












