軸受の波動摩耗（Waviness Wear）とは、**転走面に“うねり状の模様”が現れる損傷**で、回転ムラや異音の原因となるベアリング特有の摩耗パターンです。
外観としては「周期的に波打ったような痕」が現れ、荷重・振動・加工精度などさまざまな要因が関係します。
この記事では、波動摩耗の特徴、原因、発生しやすい条件、対策をわかりやすく解説します。
軸受の波動摩耗とは？
波動摩耗（Waviness Wear）とは、
ベアリングの軌道面が“周期的に波打つ”ように摩耗する現象
のことです。
特徴として、
- 転走面にうねり状の摩耗模様が現れる
- 振動の原因になる（特定周波数で発生）
- 荷重方向や回転数に応じて周期が決まる
- 進行すると騒音・発熱が増大
見分けがつきやすい損傷ですが、原因が複数絡むことが多く厄介です。
波動摩耗の主な原因
① 転走面加工のうねり（製造起因）
仕上げ加工に残った「波形（waviness）」が摩耗によって強調されるケース。
② 不均一な荷重分布
- 偏心
- アライメント不良
- 過負荷
などにより、局所摩耗が周期的に発生。
③ 回転中の振動
振動によって規則的な接触圧変動が起き、波形の摩耗が進行する。
④ 潤滑不足または潤滑不均一
油膜が安定せず、境界潤滑が発生しやすい。
⑤ 転動体の不均一
真円度不良により周期的な当たりが生じる。
波動摩耗が発生しやすい条件
- 低速・高荷重の使用条件
- 無潤滑または潤滑不足の環境
- アライメント精度が低い設備
- 振動が大きい機器
- ベアリング加工精度が低い場合
波動摩耗が引き起こす問題
- 特定周波数での異常振動
- 回転ムラ（トルク変動）
- 騒音の増加
- 発熱・グリース劣化
- 寿命の大幅短縮
波動摩耗の対策方法
① アライメントを適正化
芯ずれ・傾きは局所荷重の原因。
② 潤滑状態の改善
油膜が安定するようグリース種別や給脂頻度を見直す。
③ 高精度ベアリングへの変更
P5、P6などの規格を選定すると効果が高い。
④ 振動源を取り除く／アイソレーションする
振動が繰り返し応力の原因になる。
⑤ 荷重条件を見直す
荷重過大時は摩耗が急激に進行する。
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まとめ
軸受の波動摩耗は、周期的な荷重変動や振動、加工精度の影響によって転走面に波打つ摩耗が生じる現象です。
- 特徴：規則的な波状の摩耗模様
- 原因：振動・加工うねり・荷重不均一・潤滑不足
- 問題：振動・騒音・トルク変動・寿命低下
- 対策：アライメント改善・潤滑管理・高精度軸受の採用
放置すると重大故障につながるため、早期の発見と改善が重要です。
