摩擦係数とは?材質別の比較と応用をわかりやすく解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

摩擦係数とは、2つの物体が擦れ合うときの「滑りやすさ(または滑りにくさ)」を表す数値です。

摩擦力の大小を示す基本パラメータで、機械設計・摺動部品・潤滑・材料選定など、多くの工業分野で重要な役割を持ちます。

この記事では、摩擦係数の基礎、計算式、材質別の比較、実際の設計での使い方まで初心者にもわかりやすく解説します。



摩擦係数とは?

摩擦係数(Coefficient of Friction:μ)とは、接触している2つの面に働く摩擦力の大きさを示す無次元の数値です。

摩擦力の基本式

摩擦力 F = μ × N

N:垂直抗力(押し付ける力)

μ:摩擦係数(0.05〜1.0程度)

数値が大きいほど「滑りにくい」

数値が小さいほど「滑りやすい」と言えます。

静摩擦と動摩擦

  • 静摩擦係数:動き出すまでの摩擦力(大きい)
  • 動摩擦係数:動いているときの摩擦力(小さい)

設計では静摩擦を重視する場面が多いです。

材質別の摩擦係数の比較

一般的な値の目安をまとめます(乾燥条件)。

材質組み合わせ 摩擦係数(静摩擦) 特徴
鋼 × 鋼 0.5〜0.8 滑りにくい、焼付きやすい
鋼 × アルミ 0.4〜0.6 摩耗しやすい
鋼 × ブロンズ 0.15〜0.25 すべり軸受に使われる
樹脂(POM、MCナイロン) × 鋼 0.15〜0.3 摺動部で多用
PTFE(テフロン) × 鋼 0.04〜0.1 非常に滑りやすい
ゴム × 鋼 0.6〜1.0 非常に高い摩擦力

※潤滑条件では値が大きく変化します。

摩擦係数を下げたい場合

  • 潤滑油・グリースを使用する
  • PTFE・UHMWなど低摩擦材を使う
  • 表面を鏡面加工にする
  • 転がり軸受(ベアリング)に変更する

摩擦低減は、エネルギー損失の削減(省エネ)にもつながります。

摩擦係数を上げたい場合

  • ゴム材を使用する
  • 表面粗さをあえて粗くする
  • 圧力を増やして密着を強める

搬送ローラ・制動装置・クランプなどに利用。

摩擦係数が重要になる場面

  • 摺動部(ガイド、リニアブッシュ)
  • ベルト伝動(プーリ × ベルト)
  • 軸受設計
  • ブレーキ・クラッチ
  • 摩耗・発熱計算
  • 摩擦攪拌などの加工工程

特に摩擦・摩耗・潤滑の3要素は切り離せません。



摩擦係数の測定方法

  • 傾斜法:物体が滑り出す角度からμを求める
  • 引張試験法:荷重計を使って摩擦力を測定
  • 往復摺動試験:実機条件に近い評価が可能

測定環境により値が大きく変わるため、条件設定が重要です。

関連記事

関連書籍

まとめ

摩擦係数は、摺動部や材料の選定において欠かせない重要パラメータです。

  • 摩擦係数(μ)は物体の滑りやすさを表す値
  • 材質・表面粗さ・潤滑条件で大きく変化
  • 摺動部の設計では「摩耗」「発熱」とセットで考える
  • 摩擦低減は省エネ・寿命向上に直結

正しく理解することで、装置の性能向上・トラブル低減が可能になります。



  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

DIYにおすすめの主要ECサイト比較

生産財や副資材、消耗品、交換部品など、

近年では、インターネットで何でも購入できる時代になりました。

そんなECサイトをまとめた記事を公開中!

是非、参考にしてみてください。


DIYにおすすめの主要ECサイト比較へ