電磁ノイズ(EMI: Electromagnetic Interference)とは、電気機器の動作に影響を与える不要な電気的・磁気的エネルギーのことです。
制御盤では、PLCの誤動作・センサの誤信号・通信エラーなど多くのトラブル原因となります。
この記事では、電磁ノイズの種類、発生源、制御盤への影響、対策方法までを初心者にも分かりやすく解説します。
電磁ノイズとは?
電磁ノイズとは、電気機器の動作に干渉し、誤動作や通信エラーを引き起こす不要な電磁エネルギーのことです。
制御盤では特に問題となり、以下の障害を引き起こします。
- PLCの入力誤判定
- センサの誤動作
- 通信エラー(RS485 / Ethernet / シリアル)
- シーケンス停止・装置停止
製造ラインの突発停止につながるため、現場でも最重要の保全項目です。
電磁ノイズの種類
① 放射ノイズ(Radiated Noise)
空間を伝わるノイズ。
インバータ・無線機器・モータから放出される。
② 伝導ノイズ(Conducted Noise)
配線を通じて侵入するノイズ。
電源ライン・信号線を伝わりPLCに届く。
③ サージノイズ
落雷・開閉サージによる瞬間高電圧。
④ 接触ノイズ
リレー接点の開閉時のスパークで発生。
⑤ 静電気放電(ESD)
人の接触や摩擦で発生する静電気。
電磁ノイズの主な発生源
- インバータ(PWMスイッチング)
- サーボドライバ
- 大電流モータ
- 電磁弁・リレーコイル
- スイッチング電源
- 蛍光灯・LEDドライバ
- アース不良の機器
工場内では、ほぼすべての装置がノイズ源となり得ます。
制御盤のトラブル例
① PLC入力が勝手にオンになる
→ 近くの電磁弁やモータからの放射ノイズが原因。
② 通信(RS485 / Ethernet)が切断する
→ ケーブルのシールド不足、アース不良。
③ センサの誤検知
→ 静電気や接触ノイズによる誤パルス。
④ インバータの誤動作
→ 入力端子のノイズ混入、GND電位差など。
電磁ノイズ対策
① アース(接地)の徹底
- 機器アース
- 制御盤アース
- シールドケーブルの片側接地
② ノイズフィルタの追加
電源ラインにEMIフィルタを追加する。
③ ケーブル配線の分離
- 動力線(電源線)
- 信号線(センサ・PLC)
は最低でも30cm離す。
④ ツイストペアケーブルの利用
通信ラインやアナログ信号で有効。
⑤ フェライトコアの装着
巻き付けるだけで高周波ノイズを減衰。
⑥ サージプロテクタの設置
雷サージ・開閉サージ対策として必須。
⑦ ノイズ源の特定と隔離
モータ・インバータの配線を信号線から遠ざける。
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まとめ
電磁ノイズは、工場設備の停止や誤動作の原因になる重要なトラブル要因です。
- 放射・伝導・サージ・接触など種類が多い
- インバータ・モータ・リレーが主な発生源
- アース・フィルタ・シールドで対策が可能
- 制御盤では特に通信・PLCへの影響が大きい
正しいノイズ対策により、設備の安定稼働と保全性が大きく向上します。












