グリースの「ちょう度(Consistency)」とは、グリースの硬さ(やわらかさ)を示す指標です。
どれだけ柔らかく流動するか、どれだけ固く留まるかを表し、ベアリングの潤滑設計において非常に重要な要素となります。
この記事では、ちょう度の意味、NLGI等級の見方、用途別の選び方までをわかりやすく解説します。
グリースのちょう度とは?
ちょう度(Consistency)とは、グリースの硬さ(柔らかさ)を数値で示したものです。
グリースは油(基油)に増ちょう剤を混ぜて固形状にした潤滑剤のため、その硬さが潤滑性能に直結します。
ちょう度が低い(柔らかい)とどうなる?
- 流動性が高く、油が出やすい
- 高速回転向き
- 漏れやすい
ちょう度が高い(固い)とどうなる?
- 油保持性が高い
- 防塵性が高い
- 低速・高荷重向き
NLGIちょう度番号(0〜6の分類)
グリースの硬さは NLGI(全米潤滑剤協会)規格で分類されます。
| NLGI番号 | 状態 | 用途の例 |
|---|---|---|
| 000 | 液体に近い | ギアボックス、グリースミスト |
| 00 | 非常に軟らかい | 集中給脂、低温環境 |
| 0 | 柔らかい | 低トルク機器、密閉できない機構 |
| 1 | やや柔らかい | 低速・中荷重 |
| 2 | 標準的な硬さ(最も一般的) | ベアリング全般 |
| 3 | 硬い | 高温・重荷重 |
| 4〜6 | 非常に硬い | 特殊用途 |
最もよく使われるのは **NLGI #2** です。
用途別のおすすめちょう度
高速回転(電動モータ・スピンドル)
- NLGI 0〜1
- 柔らかいほど摩擦が減り、発熱を抑えられる
一般用途(産業用ベアリング)
- NLGI 2(標準)
高荷重・高温環境(製鉄・圧延機など)
- NLGI 2〜3
- 硬い方が油保持性が高い
低温環境(冷凍機・屋外)
- NLGI 00〜1
- 柔らかいグリースが流動性を保つ
グリースの選定で注意すべきポイント
① 使用温度
温度でちょう度が大きく変わる。
→ 高温では柔らかく、低温では硬くなる。
② せん断安定性
使用中に柔らかくなりすぎないか。
③ 基油の粘度
高速→低粘度
低速・高荷重→高粘度
④ 増ちょう剤の種類
- リチウム系(汎用)
- 複合リチウム(高温)
- ウレア系(モータ・静音)
⑤ 二種類のグリースを混ぜない
混ぜると油分離・ちょう度低下の原因に。
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まとめ
グリースのちょう度は、潤滑性能・発熱・寿命に大きく影響する重要な指標です。
- ちょう度=グリースの硬さ
- NLGI番号で0〜6に分類
- 一般用途は NLGI #2 が最も多い
- 高速回転→柔らかい、重荷重→硬いグリース
正しいちょう度を選ぶことで、軸受・摺動部品の寿命を大幅に延ばせます。












