ハイポイドギア（Hypoid Gear）とは、「軸が交差せず、かつ平行でもない状態で噛み合う特殊な歯車」です。
主に自動車のデファレンシャルギア（最終減速機）で使われ、大トルク伝達と低床化を両立できるのが特徴です。
この記事では、ハイポイドギアの仕組み、メリット・デメリット、用途、設計・潤滑上の注意点をわかりやすく解説します。
ハイポイドギアとは？
ハイポイドギアとは、
入力軸と出力軸がオフセット（ずれて）配置され、ねじれた歯面で噛み合う歯車
のことです。
ベベルギア（かさ歯車）の一種ですが、軸心が交差しない点が大きな違いです。
ハイポイドギアの構造的特徴
① 軸のオフセット
入力軸と出力軸が上下または左右にずれて配置される。
② 歯面は曲面＋ねじれ形状
接触面積が大きく、荷重分散性に優れる。
③ 滑り成分が大きい
噛み合い時に転がり＋滑りが同時に発生。
ハイポイドギアのメリット
- 大トルクを伝達できる
- 接触率が高く、静音性に優れる
- 軸配置の自由度が高い
- 装置の低床化が可能
特に自動車用途では、室内スペース確保に貢献しています。
ハイポイドギアのデメリット
- 滑りが大きく効率が低下しやすい
- 歯面摩耗が起きやすい
- 専用のハイポイドオイルが必要
- 製作・調整が難しい
なぜ専用オイルが必要なのか？
ハイポイドギアでは歯面に大きな滑りが発生します。
- 極圧（EP）添加剤が必須
- 油膜切れ防止が重要
- 通常のギアオイルでは焼付きリスク
ハイポイドギアの主な用途
- 自動車のデファレンシャル
- 建設機械の駆動装置
- 大型減速機
- 特殊搬送装置
ベベルギア・ウォームギアとの違い
| 項目 | ハイポイド | ベベル | ウォーム |
|---|---|---|---|
| 軸配置 | オフセット | 交差 | 直交 |
| 効率 | 中 | 高 | 低 |
| 静音性 | 高 | 中 | 高 |
| 潤滑要求 | 高 | 中 | 高 |
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まとめ
ハイポイドギアは、オフセット軸配置によって大トルクと静音性を両立できる歯車です。
- 大トルク伝達が可能
- 静音・高負荷用途に強い
- 専用オイルによる潤滑管理が必須
- 自動車・建機・大型装置で多用
用途に応じた正しい理解と潤滑管理が重要です。
