メタルタッチ(Metal Touch)とは、**潤滑油膜が不足した状態で金属表面同士が直接接触し、摩耗・発熱・焼付きが発生する現象**です。
摺動部やベアリング、シリンダ、ギアなど、あらゆる機械要素で発生しうる重大なトラブル原因となります。
この記事では、メタルタッチの仕組み、発生原因、症状、対策をわかりやすく解説します。
メタルタッチとは?
メタルタッチ(Metal Touch)とは、
油膜が保持できず、金属同士が直接こすれ合うことで摩耗・焼付きが起きる現象
のことです。
潤滑の基本は「油膜で金属同士を分離する」ことですが、油膜が破れると摩擦係数が急上昇し、損傷へ直結します。
メタルタッチの発生メカニズム
① 油膜厚さが不足する(境界潤滑領域)
油膜が形成できない状態では、表面の凹凸同士が接触する。
② 金属表面が直接こすれ合う
摩擦が増大し、摩耗粉が発生。
③ 発熱 → 材料軟化 → 焼付き
悪循環により短時間で重大損傷に発展することも多い。
メタルタッチが発生する原因
① 潤滑不足
- 油量不足
- 給油ライン詰まり
- グリース切れ
② 過大荷重
荷重が大きいと油膜が押しつぶされる。
③ 高温環境
油の粘度低下 → 油膜維持が難しくなる。
④ 異物混入
摩耗粉・砂などが油膜破壊を誘発。
⑤ 表面粗さの悪さ
粗い表面は油膜が切れやすい。
メタルタッチが起きやすい部品
- すべり軸受(メタル軸受)
- ギア(特に高荷重部)
- ピストン・シリンダ
- リニアガイド
- 摺動プレート
特に油圧機器やコンプレッサでは重大故障につながりやすい現象です。
メタルタッチの症状・兆候
- 異常な発熱(温度上昇)
- 焦げたような異臭
- 摩耗粉の増加(鉄粉)
- 振動・騒音の増加
- 動作不良・固着
メタルタッチを防ぐ方法
① 適切な潤滑を維持する(最重要)
- 油量管理
- グリース給脂
- 自動給油装置の導入
② 荷重・速度・温度条件を見直す
過負荷の設備では油膜が維持できない。
③ 表面粗さを改善する
仕上げ面を良くすることで油膜が安定する。
④ 異物混入を防ぐ
フィルタ管理・密閉構造の強化が有効。
⑤ 油種変更(高粘度・耐熱タイプ)
粘度が高いほど油膜厚が増えやすい。
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まとめ
メタルタッチは、油膜が形成できない状態で金属同士が直接接触し、摩耗・発熱・焼付きが発生する危険な現象です。
- 原因は油膜切れ・過負荷・高温・異物混入
- 症状は発熱・摩耗粉増加・異音
- 潤滑管理が最重要の予防策
- 重大故障につながるため早期発見が不可欠
適切な潤滑と運転条件の管理により、メタルタッチは大幅に防止できます。












