回転摩耗粉(Rotational Wear Debris)とは、**回転する機械部品が摩耗した際に発生する微細な金属粉・異物粉の総称**です。
ベアリング・ギア・シャフトなどの摩耗状態を診断する上で非常に重要な指標であり、設備保全では油中分析やマグネットキャッチャによく用いられます。
この記事では、回転摩耗粉の特徴、種類、発生メカニズム、診断方法、対策をわかりやすく解説します。
回転摩耗粉とは?
回転摩耗粉とは、
回転摩擦や潤滑不良により、金属部品が削れて発生する微粒子の総称
です。
摩耗粉は設備内部の状態を示す“健康診断データ”として扱われ、摩耗の種類ごとに特徴を持ちます。
回転摩耗粉の主な種類
① 摩耗粉(Wear Debris)
一般的な摩耗で発生する微細な金属片。
② フレーク状摩耗粉
剥離(フレーキング)で発生する薄片状粉体。
③ 球状摩耗粉
焼付きや高温摩耗時に発生。
④ 研磨粉(磨耗粉)
仕上げ不足・異物混入により発生。
⑤ 異物粉(外来異物)
砂・切粉・シール破片など。
回転摩耗粉が発生する原因
- 潤滑不足(油膜切れ)
- 過大荷重・高荷重運転
- 異物混入
- アライメント不良・偏荷重
- ベアリング損傷(波動摩耗・メタルタッチ・フレッティング)
- ギアの歯面摩耗
摩耗粉の診断方法
① 油中分析(Oil Analysis)
- 成分分析(鉄、銅、アルミなど)
- 粒子サイズ分析
- 濃度評価
② マグネットキャッチャの粉付着確認
ギアボックスや減速機で一般的。
③ 光学顕微鏡での外観観察
摩耗パターンを特定できる。
④ 振動解析と合わせて診断
振動増大+摩耗粉増加 → 初期故障の典型。
回転摩耗粉からわかる異常兆候
- 粗い粉:異物摩耗・境界潤滑
- 球状粉:高温摩擦・焼付き予兆
- フレーク:剥離(ベアリング寿命末期)
- 赤色粉:錆摩耗
- 黒色粉:高温劣化した潤滑油の残留物
摩耗粉の種類を知ることで、故障を事前に察知できます。
回転摩耗粉を減らすための対策
① 正しい潤滑管理(最重要)
油量・油種・給脂間隔の最適化。
② 異物混入を防ぐ
シール・フィルタの強化。
③ アライメント調整の徹底
芯ずれは摩耗粉を急増させる。
④ 過負荷運転を避ける
負荷の見直しが長寿命化に直結。
⑤ 予知保全(振動+油中分析)を導入
初期に異常を発見できる。
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まとめ
回転摩耗粉は、回転体の摩耗状態を把握するための重要な指標であり、初期故障の発見に役立ちます。
- 摩耗粉の種類で故障原因がわかる
- 潤滑不足・異物混入・偏荷重が主原因
- 油中分析やマグネットで診断可能
- 適切な潤滑・アライメントで摩耗粉は激減
予知保全の中心となるため、定期的なモニタリングが重要です。












