シャフトスリーブ(Shaft Sleeve)とは、「シャフト表面にかぶせて使用する交換式の保護スリーブ」のことです。
摩耗が発生しやすいシール接触部や軸受周辺でよく使用され、シャフト本体を削らずに寿命延長ができるため、設備保全で重要な部品です。
この記事では、シャフトスリーブの役割、種類、メリット、交換タイミングをわかりやすく解説します。
シャフトスリーブとは?
シャフトスリーブとは、
シャフトの摩耗部を覆って保護するための金属製・樹脂製の円筒スリーブ
です。
主に以下の理由で使われます:
- シャフト表面の摩耗を防ぐ
- 摩耗した部分を簡単にリカバリーする
- シールの摺動面を改善する
シャフトを交換すると高額になるため、スリーブはコスト削減に最適な保全手法です。
シャフトスリーブが使われる場所
- オイルシール接触部
- ポンプ軸の摩耗部
- ベアリング周辺の接触面
- プーリ・カップリング取付部
- 腐食が発生した表面の補修
特にポンプメンテナンスではほぼ必須の消耗部品です。
シャフトスリーブの種類
① メタルスリーブ
- ステンレス
- 硬化鋼
耐摩耗性が高く、一般的に最も使用される。
② レジンスリーブ
- 樹脂製
摩擦が少なく、低荷重環境に適する。
③ 肉薄修理スリーブ(リペアスリーブ)
- 薄肉でシャフトに被せるタイプ
- 加工不要で簡単に延命できる
代表例:SKF Speedi-Sleeve など
シャフトスリーブを使用するメリット
① シャフト交換が不要(大幅にコスト削減)
本体交換よりスリーブ交換の方が圧倒的に安価。
② ダウンタイムを短縮
加工レスで即復旧できる。
③ 摩耗面を高精度に復元できる
シール接触部の面粗さ改善に有効。
④ シール寿命の延長
滑らかな摺動面を維持できる。
⑤ 腐食・スコアリングの再発防止
表面を新品同様に保護できる。
シャフトスリーブの交換タイミング
- シール接触部に段付き摩耗がある
- 油漏れが発生している
- 表面にスコアリング(傷)が見られる
- 腐食で表面が荒れている
- 保全周期で定期交換を行う場合
シャフトスリーブ取り付け時の注意点
- 表面清掃と脱脂を十分に行う
- 専用工具(インストーラ)を使用する
- シールと接触する位置を正確に合わせる
- 偏心・傾きを生じさせない
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まとめ
シャフトスリーブは、摩耗したシャフト表面を簡単に補修し、寿命を延ばすための保全部品です。
- シャフトを保護するための交換式スリーブ
- ポンプ・シール部で多用される
- 肉薄スリーブは簡単に延命でき人気
- 摩耗・油漏れの初期対策として最適
設備保全において非常に効果が高い改善手法の一つです。












