焼結軸受とは?特徴と使用条件をわかりやすく解説

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焼結軸受(Sintered Bearing)は、多孔質の金属粉末を焼結して作られた軸受で、内部に含まれるオイルによって自己潤滑(オイル含浸)ができるのが最大の特徴です。

メンテナンスフリーで低コストなため、家電・小型モータ・OA機器など幅広く使用されています。

この記事では、焼結軸受の構造、特徴、メリット・デメリット、適した用途、使用条件を初心者にも分かりやすく解説します。



焼結軸受とは?

焼結軸受は、金属粉末(銅系・鉄系など)を型に入れて圧縮し、加熱して固めた軸受です。

特徴的なのは、材料内部に多数の細かい空孔(気孔)がある点で、この孔にオイルを含ませることで軸受自身が潤滑剤を供給する構造になっています。

焼結軸受の素材

  • 銅系(ブロンズ):汎用・低摩耗
  • 鉄系:強度が高い
  • 含油軸受:内部にオイルを含浸

特に「含油焼結軸受」が一般に広く使われています。

焼結軸受のメリット

① メンテナンスフリー(潤滑不要)

含浸されたオイルが運転中に油膜を作り、停止時に再度吸収される。

② 安価で大量生産に向く

粉末冶金による量産性が高い。

③ 静音性が高い

摩擦が少なく、家電・小型モータに適している。

④ 軽負荷に強い

小型軸の支持に向いている。

⑤ 設計自由度が高い

形状加工しやすいため、特殊形状にも対応可能。

焼結軸受のデメリット

  • 高荷重には不向き(摩耗しやすい)
  • 高速回転では油膜が不足することがある
  • 温度によりオイルが抜けやすい
  • 衝撃荷重に弱い

小型・軽負荷を前提とした軸受であり、重荷重用途にはころがり軸受が適しています。



焼結軸受の使用条件(適した環境)

① 回転速度

一般的に中速域まで(数千rpm程度)が適正。

② 荷重

軽荷重用途に最適。

高荷重では油膜が保てず摩耗が急増。

③ 温度

60〜80℃程度を境に含浸オイルが抜けやすいため注意。

④ 潤滑油の選択

使用温度に合った粘度が必要。

耐熱仕様の含油軸受も存在。

⑤ 使用環境

  • 汚れや粉塵に強い
  • 水分はNG(油膜が破壊される)

焼結軸受と通常のすべり軸受の違い

項目 焼結軸受 すべり軸受(ブッシュ)
潤滑 自己潤滑 外部給油が必要
用途 小型・軽負荷 中〜高荷重
コスト 低い(量産向き) やや高い
静音性 高い 条件に依存

焼結軸受が使われる装置の例

  • 小型モータ
  • ファン・ブロワ
  • プリンタ・複合機
  • 家電(扇風機、掃除機など)
  • 玩具・小型装置

特に「静音」と「メンテナンスフリー」が求められる場面で重宝されます。

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まとめ

焼結軸受は、自己潤滑性と静音性に優れた軸受で、小型装置に最適です。

  • 含油によるメンテナンスフリーが最大の強み
  • 軽荷重・中速回転に向く
  • 高荷重・高温環境では不適合
  • 家電・OA機器など大量生産品に広く利用

適切な環境で使用することで、摩耗・焼付きトラブルを大きく減らすことができます。



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