スプリングバックとは?塑性加工後に起こる戻り現象をわかりやすく解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

スプリングバック(Springback)とは、**金属を曲げたり成形した後に、弾性力によって形状が部分的に元へ戻る現象**のことです。

板金加工・曲げ加工・プレス加工では必ず発生し、寸法誤差の大きな原因となります。

この記事では、スプリングバックの原因、影響、補正方法をわかりやすく解説します。



スプリングバックとは?

スプリングバックとは、

塑性加工後、弾性変形が回復して形状が戻る現象

を指します。

完全に変形しきっている部分(塑性域)は戻りませんが、弾性域で変形した領域は元の形に戻ろうとするため“戻り”が発生します。

スプリングバックが問題になる加工

  • 曲げ加工(板金・パイプ曲げ)
  • プレス成形
  • 伸びフランジ加工
  • 深絞り加工
  • ロール成形

特に板金では、曲げ角度の誤差が問題になりやすいです。



なぜスプリングバックが起きるのか?(原因)

スプリングバックは「弾性域」と「塑性域」が混在するために起こります。

① 弾性変形が回復するため

曲げ加工中:

→ 外側は引張、内側は圧縮で変形。

加工後:

→ 弾性部分が元に戻ろうとする。

② 材料強度が高いほど戻りが大きい

ハイテン材やステンレスはスプリングバックが大きい。

③ 板厚が薄いほど戻りやすい

剛性が低く、変形が不均一。

④ 曲げ半径が大きいほど戻りが大きい

緩やかな曲げは弾性変形の影響を受けやすい。

スプリングバックの影響

  • 角度誤差(予定より開いた角度になる)
  • 寸法不良
  • 組立不適合
  • 後工程での手直し増加

特に量産では許容できない誤差につながります。

スプリングバックの補正方法

① 過剰曲げ(オーバーベンド)

予定角度より大きく曲げて戻りを見越す。

② 予備曲げ(プリベント)

2段階で変形させる。

③ 曲げ金型の形状最適化

スプリングバックを前提とした金型設計。

④ 材料の選定変更

戻りの小さい材料を採用。

⑤ 曲げ速度・加工条件の調整

応力分布を安定させることで戻り抑制。

⑥ 板厚を厚くする/Rを小さくする

弾性回復の量が減る。

スプリングバックが大きい材料の特徴

  • 高張力鋼(ハイテン)
  • ステンレス
  • アルミ合金

これらは加工硬化しやすく、弾性回復が大きい傾向があります。

関連記事

まとめ

スプリングバックは、金属を曲げた際に弾性力が働き、形状が戻る現象です。

  • 弾性回復が原因で寸法誤差が出る
  • 高強度材・薄板・大きい曲げRで発生しやすい
  • オーバーベンドや金型設計で補正可能
  • 板金・プレス加工で最重要の現象

加工精度を出すためには、スプリングバックの理解と補正が不可欠です。



  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

DIYにおすすめの主要ECサイト比較

生産財や副資材、消耗品、交換部品など、

近年では、インターネットで何でも購入できる時代になりました。

そんなECサイトをまとめた記事を公開中!

是非、参考にしてみてください。


DIYにおすすめの主要ECサイト比較へ