サージプロテクタ(Surge Protector)とは、落雷や開閉サージなどによって発生する異常高電圧から機器を保護する装置です。
特に工場の制御盤では、PLC・センサ・通信機器がサージで故障する事故が多く、サージ対策は必須の保全項目です。
この記事では、サージプロテクタの仕組み、動作原理、設置場所、種類、選定方法を初心者にもわかりやすく解説します。
サージプロテクタとは?
サージプロテクタは、雷・スイッチング・モータ停止時などに発生する瞬間的な高電圧(サージ)を吸収・バイパスする保護装置です。
サージの発生源
- 雷(誘導雷)
- インバータのスイッチング
- モータの急停止
- 電磁弁やリレーの開閉(開閉サージ)
- 長い配線の静電誘導
これらのサージが制御盤に流入すると、PLC・電源・I/O・通信機器が故障する原因になります。
サージプロテクタの動作原理
① 平常時:高抵抗でほとんど電流を流さない
通常は回路に影響を与えず待機しています。
② 異常電圧が発生:一定電圧で急激に導通
設定された“制限電圧”を超えた瞬間に、急激に低抵抗となりサージ電流を逃がす。
③ サージ吸収後:再び高抵抗に戻る
回路を正常な状態に保ちます。
サージプロテクタの種類
① 金属酸化物バリスタ(MOV)
最も一般的。コストが低く応答が速い。
② ガスアレスタ(GDT)
大電流に強く、雷害対策として使用。
③ TVSダイオード
半導体保護に最適。極めて速い応答時間。
④ SPD(Surge Protective Device)
配電盤・制御盤に取り付ける“標準的なサージ保護装置”。
制御盤での設置ポイント
① 電源ライン(AC100/200V)の入口
最も重要な設置ポイント。外部からの雷サージを防ぐ。
② PLC・I/O・通信機器の入口
24Vラインや通信ラインは誘導雷・ノイズに弱い。
③ インバータ・サーボ周辺
スイッチングノイズによる誤動作を防止。
④ 屋外センサへの配線入口
配線が長いほど雷サージが侵入しやすい。
サージプロテクタ選定のポイント
① 定格電圧(Uc)
使用電圧より少し高めを選ぶ。
② 制限電圧(Up)
低いほど機器への負担が小さい。
③ 耐サージ電流(Imax)
雷害が多い地域では大きい値を選ぶ。
④ 交換のしやすさ
SPDはカートリッジ交換式が便利。
よくあるトラブル例
- サージ保護が弱くPLCが故障
- 通信エラーが頻発(LAN/RS485ラインにサージ)
- インバータの誤動作
- 外線からの雷誘導による電源破損
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まとめ
サージプロテクタは、制御盤に流入する異常高電圧を吸収し、機器故障を防ぐ重要な保護装置です。
- 雷・開閉サージから制御盤を守る
- 電源ライン・信号ラインに設置が必要
- SPD・バリスタ・ガスアレスタなど種類がある
- 定格電圧・制限電圧・耐サージ電流で選定
適切なサージ対策を行うことで、生産設備の安定稼働と機器寿命の延長につながります。












