サージング(Surging)とは、主にブロワやターボコンプレッサなどの流体を扱う回転機器で発生する圧力変動・脈動による振動現象です。
流量が不安定になり、機器全体が周期的に揺れたり、異音が発生したりするため、設備保全の現場でも頻出するトラブルのひとつです。
この記事では、サージングの仕組み・原因・兆候・対策をわかりやすく解説します。
サージングとは?
サージング(Surging)とは、以下のような状態を指します。
「流量と圧力が周期的に大きく変動し、回転機器に振動・騒音が発生する現象」
特にターボ型の回転機器で起こりやすく、負荷条件が不適切なときに発生することが多いです。
代表的な発生対象:
- 遠心ブロワ
- ターボコンプレッサ
- 送風機・排気ファン
- ポンプ(キャビテーションとの混在もあり)
サージングが起きるメカニズム
サージングは「流量が低すぎる」条件で起きやすい現象です。
流量が落ちる
- → 圧力が上昇
- → 逆流が発生
- → 流れが乱れ、圧力が急低下
- → 再び流量が回復
- → これが周期的に繰り返される
この圧力脈動が機械の振動として現れます。
特徴的な現象
- ゴーッ、ドンッという周期的な異音
- 機体全体が揺れる
- ベアリング温度の上昇
- 吐出圧・流量のブレが大きい
サージングが発生する原因
① 流量が不足している(最も多い原因)
ダンパ閉、配管抵抗増、フィルタ詰まりなどで発生。
② 運転点がサージング領域に入っている
性能曲線において「危険領域」に入ると不安定に。
③ 配管の抵抗が大きい
長すぎ・曲がりすぎ・細すぎなど。
④ バルブ操作が急激
急閉による流量変動はサージングを誘発。
⑤ インペラ汚れ・摩耗
性能低下で不安定運転に陥る。
サージングが及ぼす悪影響
- 激しい振動によるベアリング寿命低下
- 軸・ケーシングの損傷
- 吐出圧の不安定化
- 配管疲労・クラック
- 装置の異常停止
そのまま運転すると重大故障につながります。
サージングの対策
① 最小流量を確保する(バイパスライン)
一定流量を確保し、サージング領域への侵入を防ぐ。
② 配管設計の見直し
抵抗が大きいと不安定になりやすい。
③ フィルタ・スクリーンの清掃
吸込側の詰まりは最重要点。
④ インペラ・羽根の掃除と点検
汚れ・摩耗は流れを乱す。
⑤ 自動制御(アンチサージコントロール)
大規模設備ではアンチサージ制御が必須。
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まとめ
サージングは、回転機器の流量・圧力が不安定になり、周期的な大きな振動が発生する危険な現象です。
- 流量不足が主原因
- 性能曲線のサージング領域で発生する
- 振動・騒音・油膜破断などの悪影響が大きい
- 最小流量の確保や配管見直しが有効
- 大型設備ではアンチサージ制御が必須
回転機器の長寿命化・安定運転のため、サージングの理解は欠かせません。












