テーパーロックプーリとは、テーパーブッシュを利用して軸に確実に固定できるプーリのことです。
キー+テーパー構造により、高トルク・高回転でも安定して締結でき、産業機械で広く使われています。
この記事では、テーパーロックプーリの仕組み、選定ポイント、メリット・デメリット、実務上の注意点をわかりやすく解説します。
テーパーロックプーリとは?
テーパーロックプーリは、テーパーブッシュとプーリを組み合わせて軸に固定する構造のプーリです。
特徴:
- 円錐形(テーパー)のブッシュで軸を締め付ける
- キーでトルク伝達
- ボルトで締め付けるだけで簡単に固定できる
- 高トルク・高回転にも適応
テーパーロックの仕組み
構造は次の3点で成り立ちます。
① テーパーブッシュ
内側は軸用キー溝、外側はテーパー(傾斜)構造。
② プーリ本体
内径がテーパー形状になっており、ブッシュを挿入すると密着する。
③ 締結ボルト
ボルトを締め込むとブッシュがプーリに押しつけられ、軸を強力にクランプする。
これにより、
キーでトルクを伝達し、テーパーで固定力を確保するハイブリッド構造になります。
テーパーロックプーリのメリット
- 軸への固定力が強い(滑りにくい)
- 取り付け・取り外しが簡単
- 芯出し精度が出しやすい
- 摩耗した場合はブッシュだけ交換可能
- 汎用規格で入手性が高い
デメリット
- 一般的なプーリより価格が高い
- ブッシュのサイズ選定が必要
- キーが必要で、軸側加工が前提
テーパーロックプーリの選び方
適切な選定を行うためには、次の項目を確認します。
① 軸径(シャフト径)
プーリではなくブッシュ側のサイズで決まるため、軸径に合うブッシュ番号を選ぶ。
② ブッシュ番号
例:1210、1615、2012 など
番号によりテーパー角度・外径が異なる。
③ ベルトの種類
- Vベルト
- 多溝(ポリV)ベルト
- タイミングベルト
ベルトに応じてプーリ形状を選択。
④ 溝数(本数)と外径
トルク・回転数・伝達比によって決まる。
⑤ 回転数(rpm)とトルク
高回転時は芯ブレ(ランアウト)を抑えるため、精度の高い製品を選ぶ。
取り付け時の注意点
- ブッシュの油分は拭き取る(滑り防止)
- ボルトは対角線で均等に締める
- 外すときは「外し穴」にボルトを移して押し出す
- キーの押し込み量を適正にする
テーパーロックとキー溝の関係
テーパーロックはキー+テーパーで締結します。
- キー:トルク伝達
- テーパー:軸へのクランプ力
どちらが欠けても性能が出ないため、両方を正しく管理する必要があります。
関連記事
関連書籍
まとめ
テーパーロックプーリは、
「高トルクでも滑らない」「取り付けが簡単」「交換が容易」
という特長を持つ高機能プーリです。
- テーパーブッシュで軸をクランプする構造
- キー+テーパーのハイブリッド締結
- 軸径はブッシュ番号で決定
- 高回転・高荷重なら精度の高い製品を選定
軸とベルト伝達のトラブル低減に大きく貢献する要素です。












