アンバランス量とは?回転体の不釣り合い指標と振動への影響をわかりやすく解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

回転機械で発生する振動の原因として最も代表的なのが **アンバランス(不釣り合い)** です。

アンバランス量が大きいと、軸受の寿命低下、騒音、共振、回転精度の悪化など、多くのトラブルを引き起こします。

この記事では、アンバランス量の定義、単位、発生メカニズム、測定方法、許容値、改善手法までをわかりやすく解説します。



アンバランス量とは?

アンバランス量(Unbalance Amount)とは、

回転体の質量中心が回転軸からどれだけズレているかを示す量

です。

質量中心が軸からズレていると、回転時に遠心力が発生し、その力が振動・騒音の原因になります。

アンバランス量 U は次の式で定義されます。

U = m × e

m:偏心している質量

e:回転軸からの偏心距離

アンバランスの単位

工業的に使用される単位は次のとおり。

  • g・mm(最も一般的)
  • kg・mm
  • g・cm

例えば
「10 g・mm」= 10g の重さが軸から 1mm ずれている状態です。

アンバランスが発生する原因

アンバランスは製造精度や組付け誤差、摩耗によって発生します。

① 製造誤差

  • 厚みや密度の偏り
  • 加工の偏肉
  • 穴位置のずれ

② 組付け誤差

  • キーの偏り
  • ボルトの不均等
  • 嵌合の傾き

③ 摩耗・汚れ

  • 羽根への汚れ付着(ファン)
  • 摩耗により形状が変化

④ 修理・改造時のアンバランス

部分再加工による偏肉が原因になることもあります。



アンバランスが発生するとどうなる?

  • 機械の大きな振動
  • 軸受(ベアリング)の寿命短縮
  • 異音・騒音の増加
  • 回転精度の悪化
  • 部品の緩み・破損
  • ねじれ振動の誘発

高速回転になるほど影響が大きくなります。

アンバランスの種類

① 静アンバランス(Static Unbalance)

質量中心が回転軸からずれている状態。

② 偏心アンバランス(Couple Unbalance)

軸の両端で偏心方向が異なる状態。

③ 動アンバランス(Dynamic Unbalance)

静とカップルが混合した一般的な形態。

アンバランス量の測定方法

① バランシングマシン

最も一般的で精度が高い。

② 振動解析(FFT)

1X(回転次数)振動が支配的であればアンバランスの疑い。

③ 試し重り法(Trial Weight Method)

現場での簡易バランス補正。

アンバランスの許容値

ISO 1940-1(G値)が一般的に用いられる。

例:

  • G6.3:一般産業機械
  • G2.5:精密回転機械(モータ、スピンドル)
  • G1.0:高精度スピンドル

G値が小さいほど高精度です。

アンバランスを改善する方法

① 重量除去(削る)

外周を削り、偏心質量をなくす。

② ウェイト追加

不足側に重りを追加しバランスを取る。

③ 部品の清掃

ファンやブロワは付着物の除去だけで改善することも多い。

④ 高精度加工の採用

加工精度を上げればアンバランスも減少。

⑤ 両面バランス(動バランス)

高速回転機には必須。

関連記事

関連書籍

まとめ

アンバランス量は回転体の「質量中心のずれ」を表す重要指標で、振動・騒音・寿命に大きな影響を与えます。

  • U = m × e で定義される
  • 単位は g・mm が一般的
  • アンバランスは振動の最大要因
  • ISO の G値で許容範囲を判断
  • 動バランス・清掃・加工精度で改善可能

回転機の健康性を保つため、アンバランス管理は不可欠です。



  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

DIYにおすすめの主要ECサイト比較

生産財や副資材、消耗品、交換部品など、

近年では、インターネットで何でも購入できる時代になりました。

そんなECサイトをまとめた記事を公開中!

是非、参考にしてみてください。


DIYにおすすめの主要ECサイト比較へ