
エアドライヤ(Air Dryer)は、圧縮空気中の水分を除去し、機器の錆やトラブルを防ぐための重要な装置です。
ドレン排出不良や熱交換器の汚れを放置すると、空気品質が低下し、バルブやシリンダなどの空圧機器が損傷する恐れがあります。
この記事では、エアドライヤの点検・メンテナンス方法をわかりやすく解説します。
エアドライヤの点検・保守の目的
圧縮空気には大量の水分が含まれており、冷却時に結露して配管や機器を劣化させます。
エアドライヤはこの水分を除去することで、エアラインを清浄に保ち、装置寿命を延ばす役割を担います。
定期的な点検・清掃で、安定した露点と除湿性能を維持することが重要です。
主な点検目的
- ドレン排出の確実化
- 冷媒系・熱交換器の性能維持
- 露点温度の安定
- 圧縮空気の品質保持
点検周期の目安
点検区分 | 主な内容 | 周期 |
---|---|---|
日常点検 | ドレン・温度・圧力・表示ランプ確認 | 毎日〜週1回 |
定期点検 | 熱交換器清掃・コンデンサ確認 | 3〜6か月ごと |
年次点検 | 冷媒ガス圧測定・電気系点検 | 1年に1回 |
日常点検のポイント
- ドレン自動排出の動作確認
- 圧力計・温度計・露点計の表示異常有無
- 異音(コンプレッサ・ファン)や振動
- 警報ランプ・異常表示の有無
- 吸込口・排気口の通風状態確認
定期点検の内容
① ドレン排出装置の点検
ドレン弁やオートドレンが詰まると、水分が装置内に残留し、除湿性能が低下します。
動作確認とバルブ清掃を定期的に行いましょう。
② 熱交換器・コンデンサの清掃
冷凍式ドライヤの場合、コンデンサフィンの汚れは冷却効率を著しく低下させます。
エアブローまたは水洗で清掃し、放熱を確保します。
③ 冷媒系統・圧力確認
冷媒圧力が異常に高い・低い場合、冷媒不足や詰まりが考えられます。
圧力計・ガス漏れ検知を行い、必要に応じて補充・修理します。
④ 吸気フィルタ・ラインフィルタの点検
吸込みフィルタや下流のラインフィルタが目詰まりすると、圧力損失が増大し乾燥性能が低下します。
定期交換または清掃を行います。
⑤ 電気系統・温度監視
ファンモーターやコンプレッサの電流値を測定し、過負荷・接点焼損の有無を確認します。
温度上昇が見られる場合は冷却不足が原因です。
主な異常と原因・対策
現象 | 主な原因 | 対策 |
---|---|---|
除湿性能低下 | コンデンサ汚れ・冷媒漏れ・ドレン詰まり | 清掃・冷媒補充・弁点検 |
異常音・振動 | ファン摩耗・ベアリング劣化 | 部品交換・注油 |
警報ランプ点灯 | 高圧異常・温度上昇 | 冷却強化・運転条件見直し |
ドレン残留 | 弁作動不良・排出ライン詰まり | 弁清掃・ライン確認 |
点検・保守に役立つツール
Q&A
Q. エアドライヤのドレンが多く出るのは異常?
A. 湿度が高い季節やコンプレッサ側での水分分離不足によりドレン量が増えることがあります。
異常ではありませんが、ドレン排出が滞ると性能が低下します。
Q. 冷却式と吸着式の違いは?
A. 冷却式は冷媒で水分を凝縮除去、吸着式は乾燥剤に水分を吸着させます。
冷却式は一般工場向け、吸着式は高品質エアが必要な装置向けです。
Q. エアドライヤの交換目安は?
A. 一般的に10年程度が目安です。性能が低下した場合や冷媒漏れが頻発する場合は更新を検討します。