
コンプレッサ(圧縮機)は、工場でエアを供給する中核設備です。
エアツール・制御機器・空圧システムなど、さまざまな装置の動力源となるため、停止すると生産に大きな影響を与えます。
この記事では、コンプレッサの点検・保守方法を、オイル管理・フィルタ交換・ドレン排出を中心に解説します。
コンプレッサの点検・保守の目的
コンプレッサは圧縮・潤滑・冷却の繰り返しにより内部に汚れや水分がたまりやすく、放置するとオイル劣化・圧縮効率の低下・機器焼付きなどのトラブルにつながります。
定期的な点検で異常を早期に発見し、安定した圧縮エア供給を維持することが目的です。
主な点検目的
- 安定した吐出圧力の維持
- オイル・フィルタ・ドレンの管理
- 冷却効率・圧縮効率の保持
- 異音・振動・漏れの防止
点検周期の目安
点検区分 | 主な内容 | 周期 |
---|---|---|
日常点検 | 圧力・温度・異音・ドレン確認 | 毎日〜週1回 |
定期点検 | オイル・フィルタ・ベルト・冷却ファン | 3〜6か月ごと |
年次点検 | オーバーホール・バルブ・シール交換 | 1年に1回 |
日常点検のポイント
- 運転音や振動に異常がないか(異常音・うなり音)
- 圧力計・温度計の値が安定しているか
- ドレン自動排出が正常作動しているか
- オイルレベルが規定範囲にあるか
- 警報ランプやアラーム表示の有無
定期点検の内容
① オイルの点検・交換
オイルは潤滑・冷却・密封の役割を担います。
劣化すると潤滑性能が低下し、焼付きや効率低下の原因となります。
使用時間500〜2,000時間を目安に交換します。
② フィルタ類の清掃・交換
吸込みフィルタ、オイルフィルタ、エアフィルタは汚れが蓄積しやすく、目詰まりは圧縮効率を著しく低下させます。
メーカー指定の交換周期を守ることが重要です。
③ ドレン処理装置の点検
圧縮空気には必ず水分が含まれます。
ドレンタンクやオートドレンの排出不良は、機内錆び・ライン汚染の原因になります。
排出確認は毎日、ドレンバルブ清掃は月1回が目安です。
④ ベルト・カップリングの確認
ベルト駆動式コンプレッサの場合、張り具合と摩耗状態を点検します。
緩みや割れがある場合は早期交換が必要です。
⑤ 冷却装置の清掃
ラジエータやクーラー部に埃・油分が付着すると冷却効率が低下し、過熱警報を引き起こします。
エアブローまたは洗浄液で定期的に清掃しましょう。
主な異常と原因・対策
現象 | 主な原因 | 対策 |
---|---|---|
吐出圧が上がらない | エア漏れ・吸込フィルタ目詰まり | 配管確認・清掃・フィルタ交換 |
オイル消費が多い | オイル分離器劣化・オイル漏れ | 分離エレメント交換・漏れ修理 |
温度上昇 | 冷却フィン汚れ・潤滑不足 | 清掃・オイル補給 |
異音・振動 | ベルト緩み・軸芯ずれ | 張力調整・芯出し |
ドレン溜まり | ドレン弁詰まり・排出不良 | 清掃・弁交換 |
おすすめの点検・保守ツール
Q&A
Q. コンプレッサオイルの交換時期は?
A. 一般的には使用時間500〜2,000時間ごと。高温多湿環境では短縮が必要です。
Q. ドレンが自動で出ない場合はどうすれば?
A. 弁の詰まり・電磁弁故障・水分の多量発生が考えられます。
弁清掃または交換を行い、エアドライヤの動作も確認してください。
Q. フィルタを交換しないとどうなりますか?
A. 目詰まりによって吸込負圧が上昇し、電力消費や温度上昇を招きます。
結果として圧縮効率が低下し、焼付きの原因になります。