
ファン・ブロワは、換気・排気・冷却・集塵など、あらゆる設備に欠かせない送風機器です。
連続運転による汚れやアンバランス、軸受の摩耗を放置すると、振動・騒音・モーター過負荷などのトラブルを引き起こします。
本記事では、ファンやブロワの点検項目と保守方法を、現場で実践できるレベルで解説します。
ファン・ブロワ点検の目的
送風機は、粉塵や油分の多い環境では特に汚れや摩耗が進みやすく、性能低下や振動増大を招きます。定期点検でアンバランスや摩耗を早期発見し、機械の寿命延長とエネルギー効率の維持を図ります。
主な点検目的
- 羽根車(インペラ)のバランス維持
- 振動・騒音の抑制
- 軸受・ベアリングの寿命延長
- 軸芯ずれ・カップリングの調整
- 風量・静圧の安定化
点検周期の目安
点検区分 | 主な内容 | 周期 |
---|---|---|
日常点検 | 音・振動・風量確認・外観 | 毎日〜週1回 |
定期点検 | 羽根清掃・軸受給脂・ベルト確認 | 3〜6か月ごと |
年次点検 | 分解清掃・芯出し・バランス測定 | 1年に1回 |
日常点検のポイント
- 異常音(こすれ音・共鳴音・うなり音)がないか
- 振動が増大していないか
- 軸受・モーター温度が高すぎないか
- 吸込み口・吐出側の異物・汚れの有無
- ベルトやカップリングの緩み確認
定期点検の内容
① 羽根(インペラ)の清掃
羽根に付着した粉塵・油分はバランスを崩し、振動・軸応力を増大させます。
定期的に清掃し、羽根厚みや摩耗の状態も確認します。
② 軸受・ベアリング点検
グリース漏れ・異音・発熱を確認します。
潤滑油の種類や給脂量はメーカー指定値を厳守し、過給脂に注意しましょう。
③ ベルト・カップリングの確認
Vベルトの緩み・摩耗をチェックし、張力を調整します。
カップリング部は軸芯ずれやボルトの緩みを点検します。
④ モーター・駆動部の確認
モーター電流のバランス、振動、異音を確認。
モーター軸の偏心や芯ずれがないか、レーザーアライメントなどで確認します。
⑤ ケーシング・ダンパーの点検
筐体や吸込口の腐食・変形がないか、ダンパー開度の操作確認を行います。
埃や油分が溜まりやすい箇所は定期清掃が必要です。
主な異常と原因・対策
現象 | 主な原因 | 対策 |
---|---|---|
振動増大 | 羽根の汚れ・バランス崩れ・軸芯ずれ | 清掃・芯出し・バランス調整 |
異常音 | ベアリング損傷・ボルト緩み・ケーシング接触 | 締付・交換・調整 |
風量低下 | 吸込側詰まり・羽根摩耗・回転低下 | 清掃・交換・回転数確認 |
モーター過熱 | 過負荷・通風不良・軸受固着 | 清掃・負荷調整・グリース補給 |
点検・診断に役立つ測定機器
Q&A
Q. ファンとブロワの違いは?
A. 一般的に、低圧で大風量を送るものをファン、高圧で比較的少風量を送るものをブロワと呼びます。
Q. 羽根に汚れが付着するとどうなる?
A. バランスが崩れ、振動や騒音が増大します。結果的に軸受への負担が増し、寿命が短くなります。
Q. 定期点検時に特に注意すべき箇所は?
A. 羽根と軸受部です。ここが不調を起こすと装置全体の振動に直結します。