サイズとは異なり、幾何公差である同心度(同芯度)は、形状や位置が正確であることが、最終製品の品質に大きく影響を与えます。
そのため、シャフトやピンなど、円柱形状・円筒形状の加工部品は、図面上の寸法公差だけでなく、同心度および同軸度の公差を忠実に再現する必要があります。
このページでは、同心度(同芯度)の測定方法をアナログ的な方法で測る方法、デジタルで測る方法の2つの視点で解説していきます。
はじめに:同心度とは
測定方法を解説する前に、同心度について簡単に解説したいと思います。
同心度とは、円柱もしくは、円筒のモノの芯(中心)のブレのことを指します。
数値として同芯度・同心度が小さければブレが少なく、同芯度・同心度が大きければブレが大きいということとなります。
また、同心度は、
平面図形の場合にデータム円の中心に対する他の円形形体の中心の位置の狂いの大きさ
とJISでも定義されています。
その他、同心度について詳しくは「同芯度・同心度とは。円柱形状・円筒形状のワークの精度に直結!」を参考にしてください。
同心度の測定方法
同心度(同芯度)の測定方法には、大まかに円柱・円筒のワークを回転させてダイヤルゲージによち外周部のブレを測定するアナログ的な方法と、三次元測定機によりデジタル的な測定方法の2種類があります。
2種類の測定方法には、メリットとデメリットがあり、どちらの方法が良いのかの参考にしてみてください。
ダイヤルゲージによる測定方法
ダイヤルゲージによる同心度(同芯度)の測定は、アナログ的な測定方法ですが、手軽にできるため、多くの現場で使用されています。
方法としては、ワークを回転させて、回転しているワークにダイヤルゲージを当てて最大の振れがどの程度あるかを測定します。
ワークの固定もそうですが、ダイヤルゲージの固定に多少の技術が必要となるため、初めての方は、少し測定までに時間がかかる可能性があります。
※上記の写真は同芯度測定器の使用イメージとなります。
必要な機器
- ワークを固定・回転させるための固定治具(同芯度測定器)
- ダイヤルゲージ
- ダイヤルゲージ用のスタンド
メリット
安価な機器で手軽に測定できることが最大のメリットだと思います。
ワークを固定・回転させるために治具は必要となりますが、その治具も比較的安価に手に入ります。
最近では専用の測定機器も販売されているため、精度も良く、製品の同心度の公差を測るためには十分かと思います。
デメリット
ダイヤルゲージを外周部分にあてて測定するため、ダイヤルゲージによってワークに傷が付いてしまう恐れがあります。
また、ダイヤルゲージの当てる強さによっても測定値が異なるため、ワークを固定したり、ダイアルゲージをセットするために慣れのような多少の技術が必要になることもデメリットの1つです。
3次元測定器による測定方法
言葉の如く、3次元測定器により同心度(同芯度)を測定する方法です。
3次元測定器は、ワークを立体的に捉え、様々な角度から寸法や精度をデータ化できます。
手作業ではないため、ワークを固定したり測定する作業者による測定値の変化がなく、測定器によってはワンタッチで数値が出るような3次元測定器もあります。
必要な機器
- 3次元測定器
メリット
誰が測定しても同じ数値が出るのが最大のメリットです。
デメリット
三次元測定機は高価であるため、手が出ないような現場も多いのではないでしょうか。
また、種類によっては大きく、スペースがないと設置できないこともデメリットの1つです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
同心度(同芯度)の測定方法について解説してきましたが、この記事を見ている方はどちらを使用しているでしょうか。
また、これから同心度(同芯度)の測定方法を検討される方は、是非、メリットとデメリットを考えて、どちらかの方法を選択していただけると嬉しいです。
また、同心度、偏心度はユニバーサルな現場で使用されている公差となります。同心度、偏心度を測定したい場合は、ZENSEIの同心度測定器をご利用ください。