
ポンプは、液体を移送するための重要な機械設備です。
モーターとともに多くの工場やプラントで稼働しており、停止すると生産ライン全体に影響を及ぼします。
この記事では、ポンプの点検・保守の基本項目や異常兆候、メカニカルシール・軸受・圧力の管理方法をわかりやすく紹介します。
ポンプの点検・保守の目的
ポンプは流体を扱う機械であり、摩耗や漏れ、キャビテーションなどの影響を受けやすい機器です。
定期的な点検・整備を行うことで、効率低下や故障を未然に防ぎ、安定した吐出性能を維持できます。
点検・保守の目的
- 液漏れや異常振動の早期発見
- 流量・圧力の安定化
- メカニカルシールや軸受の寿命延長
- 省エネ・効率運転の維持
点検周期の目安
点検区分 | 主な内容 | 周期 |
---|---|---|
日常点検 | 音・振動・漏れ・圧力計確認 | 毎日〜週1回 |
定期点検 | 軸受給脂・メカニカルシール確認 | 3〜6か月ごと |
年次点検 | 分解清掃・インペラ点検・軸交換 | 1年に1回 |
日常点検のポイント
- 異音・振動がないか確認(ゴロゴロ音・金属接触音など)
- 軸封部からの液漏れの有無
- 圧力計・流量計の数値が安定しているか
- モーターとカップリングのアライメント確認
- ベースボルトの緩み・配管応力の有無
定期点検の内容
① 軸受(ベアリング)の点検
異音・発熱・グリース漏れを確認し、必要に応じて補給または交換を行います。
長期間の使用で摩耗した場合は、シャフトやハウジングの偏磨耗もチェックします。
② メカニカルシールの点検
シール部からの微量な液漏れは正常ですが、連続的な滴下やスプレー状の漏れは異常の兆候です。
摩耗や異物の混入によってフェイス面が損傷していないか確認しましょう。
③ インペラ・ケーシング点検
スケールや異物の付着があると流量・圧力が低下します。
ケーシング内の清掃と、羽根車の摩耗や腐食の有無を確認します。
④ 吐出圧・流量の確認
圧力計と流量計を用いて性能の低下をチェックします。
新設時と比較し、流量が10%以上低下している場合は内部摩耗の可能性があります。
⑤ カップリング・芯出し確認
モーターとのアライメントずれが振動や軸受損傷を引き起こすことがあります。
定期的に芯出し測定を行い、偏心を防ぎましょう。
主な異常と原因・対策
現象 | 主な原因 | 対策 |
---|---|---|
液漏れ | シール摩耗・Oリング劣化 | メカニカルシール交換・Oリング更新 |
振動・騒音 | アンバランス・軸芯ずれ・キャビテーション | 芯出し・インペラ清掃・吸込み側確認 |
吐出圧低下 | インペラ摩耗・吸込み詰まり | 清掃・部品交換 |
モーター過負荷 | 軸受固着・ポンプ内部抵抗増加 | グリース補給・分解整備 |
点検・保守に役立つ機器
Q&A
Q. ポンプから異音がする場合の原因は?
A. キャビテーションや軸ずれ、ベアリング摩耗の可能性があります。
吸込み側のエア混入や流量不足も原因となるため、配管系統を確認してください。
Q. シール部の微量な液漏れは異常ですか?
A. メカニカルシールは潤滑のため微量な漏れがあります。
ただし滴下が連続する場合は摩耗が進行している可能性があります。
Q. ポンプのオーバーホール周期は?
A. 通常は1年に1回程度が目安ですが、運転時間や液体性状により短縮が必要な場合もあります。