
工場内のモータ、ポンプ、油圧ユニット、空圧ラインなど、あらゆる設備のデータを一元的に監視・分析できるのが設備状態監視クラウドです。
近年はIoTゲートウェイや無線センサとの連携により、リアルタイムで“工場の健康状態”を見える化できるようになりました。
設備状態監視クラウドとは?
各種センサやデータロガーで取得した設備データをクラウド上で集約・可視化・分析する仕組みです。
インターネット経由でどこからでもアクセスでき、複数工場・設備の状態をリアルタイムで把握できます。
主要機能 | 概要 |
---|---|
データ可視化 | 温度・圧力・振動などをグラフやダッシュボードで表示 |
アラート通知 | 閾値を超えると自動でメール・LINEなどに通知 |
履歴・トレンド分析 | 長期データを基に傾向を分析し、劣化予兆を検出 |
稼働率・OEE算出 | 機械ごとの稼働時間・停止時間を自動集計 |
異常解析支援 | AIや統計分析により異常原因を自動推定 |
導入のメリット
- 現場に行かなくても設備状態を把握できる(遠隔監視)
- 異常兆候を早期検出し、計画保全へ移行できる
- 稼働データを活用して、保全・品質・生産を横断的に改善
- 全社的な保全データ共有・ナレッジ化が進む
主な構成と仕組み
センサやロガー → IoTゲートウェイ → クラウドの3層構成が一般的です。
- 現場で温度・圧力・振動などのデータを取得
- IoTゲートウェイで通信変換・データ圧縮
- クラウドサーバに送信し、可視化・解析を実行
AI機能やBIツールと連携することで、単なる監視から「分析・予兆検知」へと発展します。
クラウド導入による課題と対策
課題 | 対策 |
---|---|
通信セキュリティ | VPN・SSL通信、アクセス制御を実施 |
データ量増大 | 必要データのみ送信(エッジ処理)で効率化 |
既設設備との接続 | IoTゲートウェイでプロトコル変換を行う |
運用負荷 | クラウド運用委託や自動レポート機能を活用 |
代表的なメーカー・サービス例
提供元 | サービス名 | 特徴 |
---|---|---|
KEYENCE(キーエンス) | IoTモニタリングクラウド | センサ〜クラウドまで一体型。設定が容易。 |
OMRON(オムロン) | OMRON IoT Platform | PLC・センサデータを自動収集し、AI予兆診断に対応。 |
横河電機(YOKOGAWA) | Sushi Sensor Cloud | 無線センサ連携。プラント設備向け予知保全ソリューション。 |
富士電機 | MONiTAR Cloud | 稼働率・保全履歴をクラウド上で一元管理。 |
日立製作所 | Lumada Maintenance Hub | AI解析と連携し、故障予測モデルを自動生成。 |
導入ステップ
- 監視対象設備の選定(重要機器から開始)
- センサ・ゲートウェイ構成の決定
- クラウドサービスの比較・契約
- ダッシュボード設計とアラート設定
- トライアル運用 → 全体展開
運用と継続改善
- 定期的に閾値・アラート条件を見直す
- 保全履歴と設備データを紐づけて改善分析
- 異常傾向を共有し、教育・マニュアルに反映
まとめ
設備状態監視クラウドは、点検・診断・管理をすべて「データでつなぐ」仕組みです。
現場作業者と経営層が同じ情報を共有できるため、保全の効率化と経営判断の迅速化を両立します。
DX保全の中心ツールとして、まずは主要設備から段階的に導入するのがおすすめです。