電気絶縁診断のポイント|モータ・ケーブルの劣化を早期発見

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モータや配電盤、ケーブルなどの電気設備では、絶縁劣化が進行すると漏電や焼損につながるおそれがあります。

この記事では、絶縁抵抗測定を活用した「電気絶縁診断」の基本と、劣化傾向を早期に見抜くポイントを解説します。




電気絶縁診断とは?(基礎知識)

電気絶縁診断とは、モータやケーブル、変圧器などの絶縁状態を数値化して評価する点検手法です。

絶縁が劣化すると漏電や地絡のリスクが高まるため、定期的な診断が欠かせません。

  • 絶縁抵抗値を測定して健全性を評価
  • 経年変化から劣化傾向を分析
  • 異常値の検出により早期修理・交換を判断

絶縁劣化の主な原因

絶縁性能は、経年だけでなく環境要因や運転条件によっても低下します。

要因 具体例 対策
モータの過負荷・冷却不良による温度上昇 冷却経路清掃、負荷調整
湿気 屋外盤・配線内の結露、湿潤環境 乾燥処理、除湿器・ヒータ設置
汚損 粉塵・油分によるトラッキング 定期清掃、防塵・防油カバー設置
機械的ストレス 振動・引っ張り・曲げによるケーブル損傷 固定具の改善、ケーブル保護材使用
経年劣化 絶縁材料の硬化・ひび割れ 定期交換、補修絶縁材の使用

絶縁診断の基本手法

絶縁抵抗計(メガー)を用いた測定が基本です。対象の種類や電圧階級に応じて、測定電圧と判定基準を選定します。

対象設備 測定電圧 良否判定の目安
低圧モータ(AC200V) 500V 1MΩ以上が望ましい
高圧モータ(AC3.3kV) 1000〜2500V 100MΩ以上が目安
配電盤・制御盤 500〜1000V 配線系統ごとの比較で評価
ケーブル(CV・VCTなど) 1000V以上 1MΩ/km以上を確保

測定から診断までの流れ

  1. 対象設備の電源を遮断し、安全確認を実施
  2. 接続端子を開放し、測定電圧を設定
  3. 絶縁抵抗を測定(各相—接地間など)
  4. 測定結果を前回値と比較して変化を確認
  5. 経時変化をグラフ化し、劣化傾向を分析

単一の数値で判断するのではなく、「過去との比較」「温度補正」「乾燥状態の影響」を考慮することが重要です。

診断結果の読み取りと対策

結果の特徴 想定される状態 対応策
絶縁抵抗値が徐々に低下 経年劣化・湿気の影響 乾燥処理・交換検討
急激な低下を確認 ケーブル損傷・接続部破損 該当箇所の絶縁補修
測定値にばらつきが大きい 汚損・端子ゆるみ 清掃・端子再締結
測定時に不安定な波形 湿潤状態・トラッキング初期 絶縁乾燥処理を実施

長期劣化の傾向管理

絶縁診断は「定期測定データの推移」を追うことで精度が高まります。

月次・年次点検での数値比較やグラフ化により、異常傾向を早期に把握できます。

  • 設備ごとの基準値を設定し、異常検知を自動化
  • クラウド管理ツールによる記録・傾向管理
  • 異常値の通知アラート設定

代表的な絶縁診断機器

メーカー 主な製品・特徴
日置電機(HIOKI) デジタル絶縁抵抗計。データ記録機能付きモデル多数。
三和電気計器(SANWA) 携帯型メガー。現場保守用として定番。
横河電機(YOKOGAWA) 高精度測定対応。研究・生産ラインでも使用。
キーエンス(KEYENCE) 設備監視システムと連携できるオンライン絶縁診断機。

まとめ

電気絶縁診断は、モータやケーブルの健全性を守る重要な保全業務です。

定期測定による劣化傾向の可視化と、異常発生時の早期対応により、設備の信頼性と稼働率を維持できます。



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