モータを運転すると、「ブーン」「ウーン」といった唸り音が発生することがあります。
異音ほど大きくはないものの、「いつもと音が違う」「負荷をかけると音が強くなる」といった違和感から、現場で相談されるケースは少なくありません。
この記事では、モータが唸る原因を電気的要因・機械的要因に分けて整理し、現場での切り分け方法をわかりやすく解説します。
モータが唸るとはどういう状態か?
モータが唸る状態とは、
連続的で周期性のある低い音が発生し、回転自体は継続している状態
を指します。
金属音や擦過音とは異なり、
- 一定の周波数で音が続く
- 回転数に応じて音程が変わる
- 停止すると音が消える
といった特徴があります。
電気的な原因で唸るケース
まず疑うべきなのが、電気的要因です。
- インバータのキャリア周波数が低い
- 低速域でのトルク不足
- 電源電圧の不安定
- 相欠相・電流バランス不良
特にインバータ駆動では、PWMによる電磁力の変動が唸り音として聞こえることがあります。
低速運転時に唸りやすい理由
低速運転では、
- 磁束が不安定になりやすい
- トルク脈動が発生しやすい
- 負荷の影響を受けやすい
という条件が重なります。
その結果、電磁力の変動が音として可聴域に現れ、唸りとして感じられます。
機械的な原因で唸るケース
電気的に問題がない場合、次に確認すべきは機械側です。
- 軸受の軽度な摩耗
- カップリングの芯ズレ
- 負荷側のアンバランス
- 据付剛性不足
これらは初期段階では異音ではなく、「唸り音」程度で現れることが多いのが特徴です。
電気か機械かを切り分ける方法
現場での簡易切り分けとして、次の方法が有効です。
- 無負荷運転で音が出るか確認
- 回転数を変えて音の変化を見る
- 電源直入とインバータ運転を比較
- 回転数に比例して音が変わる → 電気的要因
- 特定回転数で強く出る → 機械共振の可能性
といった判断ができます。
インバータ設定で確認すべきポイント
インバータ駆動の場合、次の設定は必ず確認します。
- キャリア周波数
- トルクブースト量
- 制御方式(V/f・ベクトル)
- 最低周波数設定
特にキャリア周波数を上げることで、可聴域の唸り音が軽減するケースは多くあります。
現場でよくあるトラブル
- 音だけを理由にモータ交換してしまう
- 原因不明として放置される
- 後に軸受損傷へ発展する
唸り音は初期警告である場合が多く、早期対応が重要です。
どんな装置で起きやすいか?
- コンベヤ
- ファン・ブロワ
- ポンプ駆動
- 低速常用運転装置
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まとめ
モータの唸り音は、軽微な異常や設定不良のサインです。
- 電気的要因と機械的要因を切り分ける
- インバータ設定で改善できる場合が多い
- 放置せず初期段階で対応する
唸り音の原因を正しく把握すれば、重大故障を未然に防ぐことができます。












