
減速機(ギアモーター、ギアボックス)は、モーターの回転を減速し、トルクを増幅させる機械要素です。
工場設備や搬送機械、ロボットなど、精密かつ安定した動作を求められる装置には欠かせません。
この記事では、減速機の基本構造、種類、用途、代表メーカーをわかりやすく解説します。
減速機とは?(基礎知識)
減速機とは、モーターの高速回転を減速して、より大きなトルクを得るための装置です。
内部に歯車(ギア)を組み合わせ、モーター軸の回転数を適切に調整します。
多くの場合、モーターと一体化した「ギアモーター」として使用されます。
減速機の役割
- 回転数を下げてトルクを増加させる
- 動力伝達を滑らかにし、機械の寿命を延ばす
- 装置の制御性・安定性を高める
減速機の種類
用途や構造によって、以下のようなタイプに分類されます。
1. 平行軸ギア減速機
軸が平行に配置された一般的なタイプ。スパーギアやヘリカルギアが用いられ、効率が高くメンテナンスも容易です。
コンベヤや搬送装置に多く使用されます。
2. 直交軸(ウォーム)減速機
入力軸と出力軸が90°で交わるタイプ。ウォームギアによって滑らかな動作を実現し、騒音が少ないのが特徴。
小型装置や低速高トルク用途に最適です。
3. 遊星(プラネタリ)減速機
中心のサンギアを複数のプラネタリギアが囲む構造。高精度・高トルクで、ロボット・位置決め装置などに採用されています。
4. サイクロ減速機
偏心回転するディスクを利用したタイプで、高耐久・高トルクが特徴。衝撃に強く、長寿命です。
減速機の構造
基本的な構成要素は以下の通りです。
- 入力軸:モーターの回転を受け取る。
- 出力軸:減速後の回転を伝達する。
- 歯車(ギア):減速比を決定する重要部品。
- ハウジング:ギアや軸を収める外装部。
- ベアリング:軸を支持し、スムーズな回転を維持。
- オイルシール:潤滑油漏れを防止。
用途と選定ポイント
減速機を選ぶ際には、使用目的や条件に応じた性能が求められます。
- 必要トルク・減速比
- 入力回転数(モーター仕様)
- 取り付け方向・スペース
- 許容トルクと安全率
- 騒音レベル・メンテナンス性
主なメーカーと特徴
住友重機械工業株式会社(SUMITOMO)
サイクロ減速機の国内トップメーカー。高耐久・高トルクで多くの工場設備に採用。
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オリエンタルモーター株式会社
小型ギアモーターに強みを持ち、モーターと減速機の一体型製品を豊富に展開。
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株式会社ニッセイ
直交軸・平行軸減速機の専門メーカー。省スペース設計と高効率を両立。
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ハーモニック・ドライブ・システムズ株式会社
高精度な波動歯車装置(ハーモニックドライブ)で有名。ロボットや精密機器に採用。
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メーカー比較表
メーカー | 主力製品 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|---|
住友重機械工業 | サイクロ減速機 | 高耐久・高トルク | 搬送・プラント設備 |
オリエンタルモーター | 小型ギアモーター | 制御性・静音性 | 装置組込み・自動化 |
ニッセイ | 直交軸・平行軸減速機 | コンパクト設計 | FA・生産ライン |
ハーモニックドライブ | 波動歯車減速機 | 高精度・軽量 | ロボット・精密装置 |
購入先・通販サイト
Q&A
Q. 減速機の寿命はどのくらいですか?
A. 使用環境や負荷により異なりますが、一般的には10,000〜30,000時間が目安です。
定期的なオイル交換やベアリング点検で寿命を延ばせます。
Q. ギアモーターと減速機付きモーターの違いは?
A. 基本的に同義ですが、ギアモーターはモーターと減速機が一体化した構造で、省スペース・組立簡便が特徴です。
Q. 減速機から異音が出る原因は?
A. ギア摩耗、潤滑不足、ベアリング損傷などが考えられます。
異常音が続く場合は早期メンテナンスが必要です。
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