
モーターは、電気エネルギーを回転運動に変える機械要素であり、ポンプやファン、搬送装置などあらゆる産業機器に欠かせない存在です。
この記事では、モーターの基礎知識から種類、構造、主なメーカーまでをわかりやすく解説します。
モーターとは?(基礎知識)
モーター(Motor)は、電気エネルギーを機械的な回転運動に変換する装置です。
電磁誘導の原理を利用して回転力(トルク)を発生させ、ポンプ、ファン、コンベヤ、工具、ロボットなど、あらゆる分野の動力源として使用されています。
モーターの種類
モーターは、電源方式や構造によりさまざまな種類に分かれます。以下に代表的なタイプを紹介します。
交流モーター(ACモーター)
工場設備や産業機械で最も多く使われるタイプ。安定したトルクを得られ、メンテナンス性にも優れています。
- 誘導モーター:構造がシンプルで耐久性が高く、コストパフォーマンスに優れる。
- 同期モーター:回転速度を一定に保つ必要がある装置(ポンプ、コンベヤなど)に使用。
直流モーター(DCモーター)
電流方向を制御して回転速度やトルクを調整できるモーター。小型装置や制御用途に適しています。
- ブラシ付きDCモーター:構造が簡単で安価、ただしブラシの摩耗によるメンテナンスが必要。
- ブラシレスDCモーター(BLDC):電子制御により高効率・低ノイズで、近年主流となっています。
サーボモーター・ステッピングモーター
位置や角度、速度を正確に制御できるモーター。ロボット・自動化設備・NC機械などに使用されます。
モーターの構造と仕組み
モーターは主に「ステータ(固定子)」と「ロータ(回転子)」で構成されます。
ステータのコイルに電流を流すことで磁界が発生し、ロータがその磁界に引かれて回転運動を生み出します。
構成要素としては、以下が代表的です:
- ステータ(固定コイル部)
- ロータ(回転部)
- シャフト(回転軸)
- ベアリング(軸受)
- 冷却ファン・ケーシング
用途と選定ポイント
モーターの選定では、用途・負荷条件・環境を考慮することが重要です。
- トルクと回転数:ポンプや搬送機器ではトルク重視。
- 電源電圧:単相・三相・直流など電源環境を確認。
- 制御性:インバータ制御やサーボ制御に対応するか。
- 環境条件:防塵・防水仕様(IP規格)や温度条件を考慮。
主なメーカーと特徴
オリエンタルモーター株式会社
小型モーターと制御機器の専門メーカー。精密機器や搬送ラインに多数採用されています。
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三菱電機株式会社
産業用モーター、インバータ、FAシステムを一体で提供。信頼性と制御性が高く、幅広い産業で採用。
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安川電機株式会社
世界的なモーションコントロールメーカー。サーボモーターやインバータ分野でトップクラスのシェア。
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日立産機システム株式会社
大型モーターや省エネ対応インバータモーターを展開。国内重電分野で高い評価。
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メーカー比較表
メーカー | 主力製品 | 特徴 | 対象分野 |
---|---|---|---|
オリエンタルモーター | 小型AC・DCモーター | 精密制御・静音性 | 装置内組込み用 |
三菱電機 | 三相モーター・インバータ | 高信頼・制御連携 | FA・産業機器 |
安川電機 | サーボモーター | 高精度・位置制御 | ロボット・自動化 |
日立産機システム | 大型モーター | 高出力・省エネ対応 | プラント設備 |
購入先・通販サイト
Q&A
Q. モーターの寿命はどのくらいですか?
A. 使用条件によりますが、一般的には10,000〜50,000時間程度が目安です。
定期的な軸受交換や絶縁抵抗の点検で長寿命化が可能です。
Q. モーターが過熱した場合はどうすればよいですか?
A. 通風不足・過負荷・電圧不均衡などが原因のことがあります。
電流値を測定し、異常が続く場合は絶縁やベアリングを点検しましょう。
Q. インバータ制御モーターとは?
A. インバータを用いて回転数やトルクを制御するモーターです。省エネ化やスムーズな起動が可能です。
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