同心度(同芯度)と聞いてピンとくる方は、日頃からシャフトやブッシュなど、旋盤やマシニングセンターを駆使して金属や樹脂のワークを触っている方かと思います。
そんな円柱形状や円筒形状のワークの精度は、どれだけセンターが出ているか、芯や軸がブレていないかが大切になってきます。
円柱形状や円筒形状には付き物、このページでは、同心度について解説します。
同心度(同芯度)とは
同心度(同芯度)とは、円柱もしくは、円筒のモノの芯(中心)のブレのことを指します。
数値として同芯度・同心度が小さければブレが少なく、同芯度・同心度が大きければブレが大きいということとなります。
同心度(同芯度)の測定方法
同心度(同芯度)は、ダイヤルゲージを使用して測定する方法と、3次元測定器を使用して測定する方法の2種類があります。
ダイヤルゲージによる測定には、手軽に安価でできるメリットがあるものの、作業者による技術的な計測値の変化やダイヤルゲージによりワークへ傷が付く可能性があるという問題点もあります。
一方、3次元測定器による測定には、作業者の技術に関わらず正確でワークを傷つけないというメリットがあるものの、高額で誰でも簡単に導入することができないという問題点があります。
同心度(同芯度)の重要性
円柱部品や円筒部品の多くは、シャフトやブッシュ・カラーなど、動力部品・伝導部品として使用されるケースが多く、軸の中心がズレていると関連する部品や機械そのものの精度が悪くなってしまう可能性があります。
精度が悪ければ、機械全体が正常な動きをしなくなったり、部品同士が緩衝しあうことで摩耗して壊れやすい完成品となってしまいます。
そのため、円柱形状・円筒形状の部品は、同心度・偏心度が重要となります。
偏心度とは
同芯度(同心度)の類義語には、偏心度(偏芯度)があります。
偏心度とは、言葉の通り偏心の度合いのことを指します。
偏心 (へんしん)とは、構造物の重心(質量の中心)が剛心(剛性の中心)から離れていることをいう。偏心の度合いを偏心率という。重心と剛心が一致している場合には偏心が0となり、重心が剛心から大きく外れた位置にあるほど偏心率は高くなる。 -Wikipedia
同心も偏心も同じような言葉ですが、同心は同心度として工業用品の精度に用いられることが多く、偏心は偏心率として構造物の重心などに用いられることが多いようです。
JISで定義された同芯度・同心度の類似語
JISでも軸や芯についての用語が定義されています。
同軸度
JISで同軸度とは、
データム軸直線と同一直線上にあるべき軸線のデータム軸直線からの狂いの大きさ
をいいます。
幾何偏差の中でも、位置偏差の1種類に位置付けられます。
要約すると、2つの円柱の軸の狂いの大きさのことを指します。
例えば、下記の段付きの円柱ワークがあるとき、径が大きい円柱と径が小さい円柱の軸に狂いの大きさが同軸度となります。
同心度
JISで同心度とは、
平面図形の場合にデータム円の中心に対する他の円形形体の中心の位置の狂いの大きさ
をいいます。
幾何偏差の中でも、位置偏差の1種類に位置付けられます。
要約すると、円の中心の狂いの大きさのことを指します。
例えば、下記のように円柱のワークの中心を見たとき、2つの円柱の中心の狂いの大きさが同芯度となります。
真円度
JISで真円度とは、
円形形体の幾何学的に正しい円からの狂いの大きさ
をいいいます。
幾何偏差の中でも、形状偏差の1種類に位置付けられます。
円筒度
円筒度とは、
円筒形体の幾何学的に正しい円筒からの狂いの大きさ
をいいます。
幾何偏差の中でも、形状偏差の1種類に位置付けられます。
まとめ
同心度について理解できたでしょうか。
同じような言葉で、偏心や同軸度などがありますが、少し違う意味だと分かっていただけたかと思います。
工業用品の精度では、同芯度・同心度は重要となります。正しく理解して精度の良い製品製作に役立てていただけたら嬉しいです。
また、同心度、偏心度はユニバーサルな現場で使用されている公差となります。同心度、偏心度を測定したい場合は、ZENSEIの同心度測定器をご利用ください。