六角穴の公差とは?加工精度と工具選定との関係をわかりやすく解説

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六角穴(六角レンチ用穴・六角ソケット)は、ボルトの締付けや部品の固定に用いられる重要な形状であり、公差(許容誤差)の管理が製品品質に直結します。

この記事では、六角穴の公差の意味、規格値、加工方法、使用する工具との関係を初心者にもわかりやすく整理して解説します。



六角穴の公差とは?

六角穴の公差とは、六角形の対辺距離や角度が「どれだけ許容範囲内に加工されているか」を示す精度です。

六角穴は、以下の理由で公差が非常に重要です。

  • 六角レンチが正常に挿入されるか
  • 締付けトルクが正しく伝達されるか
  • ナメり(角の欠け)を防止できるか
  • 組立時のガタを防ぐ

六角穴は、一般的に「六角穴付きボルト(キャップボルト)」に使われる六角ソケット規格に基づいて加工されます。

六角穴の規格(ISO 2936 など)

代表的な六角穴の対辺寸法と公差は、下記のように規定されています。

呼びサイズ 対辺寸法(基準値) 許容差
2mm 2.00 -0.06〜0
3mm 3.00 -0.06〜0
4mm 4.00 -0.07〜0
5mm 5.00 -0.07〜0
6mm 6.00 -0.08〜0

ポイント:

  • 六角穴は「マイナス側公差」が基本
  • 大きくするとレンチがガタつく
  • 小さすぎると挿入できない

六角穴の加工方法と精度の違い

① ブローチ加工(最も一般的)

精度:中〜高

生産性が高く、大量生産向け。

② 形彫り放電加工

精度:高

硬材・複雑形状に強い。

③ エンドミル加工(擬似六角)

精度:低〜中

角のRが大きく、ナメりやすいため注意。

④ プレス加工(薄板)

精度:中

簡易的な穴形状に使用。

六角穴と工具選定の関係

① 六角レンチのクリアランス調整

六角レンチ側にも公差があるため、穴側と合わせて適正な“はめあい”が重要。

例:

  • 六角穴が大きすぎ → ガタ → トルクが逃げる
  • 小さすぎ → レンチが入らない or 角が欠ける

② トルク伝達効率に影響

適正な公差で加工されていないと、以下の問題が発生:

  • 角欠け(舐める)
  • 過大トルクによる工具破損
  • 作業者のトルク不足

③ 六角ビットの選定

精度の高いビットほど、六角穴への当たりが強く、トルクがしっかり伝達される。

④ ボールポイントレンチの注意点

傾けて使うと接触が点になり、ナメりやすいため六角穴精度が重要になる。



六角穴の不良例と原因

① 角が丸くなる(Rが大きい)

加工方法と工具摩耗が原因。

② 対辺寸法が大きすぎる

ガタ発生 → 締付けトルクが伝わらない。

③ 対辺寸法が小さすぎる

レンチが入らない or 固着しやすい。

④ 深さ不足

レンチが最後まで入らず、角度が付いてナメりの原因に。

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まとめ

六角穴の公差は、工具の入りやすさ、トルク伝達、ナメり防止などに直結する重要な加工精度です。

  • 六角穴はマイナス側公差が基本
  • 加工方法で精度が大きく変わる
  • 工具(六角レンチ・ビット)の品質も重要
  • トルク伝達を安定させるには正しい公差管理が必須

六角穴は一見シンプルですが、加工精度と工具選定が品質を大きく左右します。



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