表面粗さを表す代表的な指標として「Ra(算術平均粗さ)」と「Rz(最大高さ粗さ)」があります。
図面ではどちらの記号もよく使用されますが、意味や測定方法が異なるため、用途によって使い分ける必要があります。
この記事では、Ra・Rz の違い、図面での読み方、加工現場での重要性、表面粗さと摩耗の関係まで初心者向けに詳しく解説します。
表面粗さとは?
表面粗さとは、加工された面の凹凸を数値で表したものです。
摩擦、密着性、シール性、潤滑性、寿命などに大きく影響するため、多くの部品で要求されます。
面粗さが悪いと、
- 摩耗が早くなる
- 固着・かじりが発生しやすい
- シール性が低下する
- 摺動音・振動が発生
などの問題につながります。
Ra(算術平均粗さ)とは?
Raは、測定した表面の凹凸の「平均的な粗さ」を表す指標です。
Ra = 凹凸の絶対値の平均値
特徴:
- 最も一般的に使われる指標
- 表面の「全体的な品質」を把握しやすい
- 短い大きな傷に影響されにくい
用途:
- 一般機械部品全般
- 切削加工部品
- 外観評価
Rz(最大高さ粗さ)とは?
Rzは、表面の「山の高さと谷の深さの合計」を示す指標です。
Rz = 最高峰の高さ + 最深部の深さ
特徴:
- 深い傷・大きな凹凸があると数値が大きくなる
- 実際の凹凸感を評価しやすい
- 短い傷でも大きく変化する
用途:
- シール面
- 摺動部品
- 摩耗の影響が大きい部位
Ra と Rz の違い
| 項目 | Ra(平均粗さ) | Rz(最大高さ粗さ) |
|---|---|---|
| 意味 | 平均的な表面の粗さ | 最も大きな凹凸の高さ |
| 特性 | 大きな傷に影響されにくい | 傷に敏感 |
| 用途 | 一般的な加工評価 | シール・摺動面 |
| 測定値の安定性 | 安定しやすい | バラつきやすい |
加工種類別の一般的なRa・Rz目安
| 加工方法 | Raの目安 | Rzの目安 |
|---|---|---|
| 旋盤加工 | 1.6〜6.3 | 10〜40 |
| フライス加工 | 1.6〜12.5 | 10〜80 |
| 研磨加工 | 0.2〜0.8 | 1〜5 |
| ラッピング | 0.05〜0.2 | 0.5〜2 |
※あくまで一般的な目安。
RaとRzの使い分け
● Ra が向いているケース
- 一般加工の品質管理
- 削り面の評価
- 製造ラインでの安定した測定が必要
● Rz が向いているケース
- 深い傷が問題になる部品
- 摺動性が重要
- Oリングなどのシール面
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まとめ
表面粗さの Ra と Rz は、それぞれ評価する意味が異なる指標です。
- Ra=平均的な粗さ(一般加工向け)
- Rz=最大凹凸(シール・摺動向け)
- 深い傷があると Rz だけ大きくなる
- 用途に応じた使い分けで品質が安定する
図面の読み方や加工の仕上げ指定に直結する重要な知識です。












