幾何公差の「S(最大実体)」「T(最小実体)」とは?意味と使い方をわかりやすく解説

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図面に記載される幾何公差には、「最大実体条件(MMC)」「最小実体条件(LMC)」を示す記号として、S(抜き指定なし)・T(最小実体)などが付く場合があります。

特に、軸径・穴径を含む位置度・平行度などで重要となる概念で、精度と組立性を両立するために頻繁に使用されます。

この記事では、S・T の意味、MMC/LMCとの関係、実際の使われ方、判断基準を初心者にも分かりやすく解説します。



幾何公差における実体条件とは?

幾何公差は、対象形状の大きさによって許容される位置ずれや姿勢ズレが変わる場合があります。

ここで使われるのが次の3つの条件です。

① S(Regardless of Feature Size:RFS)

「実体サイズによらず公差一定」を意味し、抜き指定なし(標準状態)です。

図面には“ S ”と書かれることがありますが、通常は省略されており、基本の状態です。

② MMC(最大実体条件)

  • 軸 → 直径が最大のとき(太い)
  • 穴 → 直径が最小のとき(細い)

組立可能なギリギリ最大干渉状態での公差を扱う概念。

③ LMC(最小実体条件)

  • 軸 → 直径が最小のとき(細い)
  • 穴 → 直径が最大のとき(太い)

材料強度や肉厚を確保したい場合に使われる。

「S」「T」の意味は?

● S:抜き指定なし(RFS)

RFS=“サイズによらず一定の形体公差”

図面で特別指定のない場合の標準状態。

● T:最小実体(LMC)

図面で “ Ⓣ ” と表記され、対象が最小実体状態にある場合に公差が最大になることを意味します。

用途:

  • 板金部品で強度(肉厚)を確保したいとき
  • 薄肉部品で位置度を緩和したいとき
  • 穴が大きすぎると問題になるケース

最大実体(MMC)と最小実体(LMC)の違い

条件 対象状態 公差の扱い
MMC(最大実体) 穴が最小・軸が最大 公差を「緩和」できる
LMC(最小実体 / T) 穴が最大・軸が最小 強度優先で公差を「制限」
S(RFS) サイズに関係しない 標準の公差で一定

MMC=組立性向上

LMC=強度確保

S=標準

という使い分け。



実務でよく使われる例

① 位置度 × MMC(最大実体)

穴位置のズレ許容を、径が小さいほどシビアにする方法。

自動車部品や治具設計で多用。

② 板金部品の形状 × T(最小実体)

薄肉部分の強度を守りたい場合に採用。

③ シャフトとハウジングの組立性向上(MMC)

はめあい誤差の吸収に使われる。

④ 精密機構部品での S(標準状態)

光学部品・高精度機械は原則S(RFS)が多い。

MMC / LMC / S の選び方

  • 組立性を優先 → MMC
  • 強度・肉厚を重視 → LMC(T)
  • 精度優先・標準 → S(RFS)

図面の意図(組立・強度・公差吸収)を理解することが重要です。

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まとめ

幾何公差の S(RFS)・MMC(最大実体)・LMC(最小実体/T)は、形状の大きさと公差の関係を定義する重要な概念です。

  • 「S」は標準(抜き指定なし)
  • 「T」は最小実体(LMC)を意味する
  • MMCは組立性、LMCは強度優先
  • 位置度などで使い分けると生産性が大幅向上

意味を理解すると、図面の意図・加工の自由度・測定基準が明確になります。



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