平行度(Parallelism)とは、基準面に対して別の面や軸がどれだけ平行に加工されているかを示す幾何公差です。
フレーム部品、プレート、ガイド、治具加工など、多くの部品で要求される重要な精度項目です。
この記事では、平行度の意味、図面の読み方、ゲージを使った測定例、よくある不良の原因までを初心者にもわかりやすく解説します。
平行度とは?
平行度とは、基準となる面(または線)に対して、対象となる面の傾きやズレがどれだけ少ないかを示す精度です。
基準面に対して、一定の許容値以内で平行になっている必要がある
平行度が悪いと、以下の問題が発生します。
- ガイドレールがスムーズに動かない
- 押さえ板・治具が均等に力をかけられない
- ベアリング・スライドの偏摩耗
- 組立後の精度不良
加工精度の中でも非常に重要な項目のひとつです。
図面での平行度の指示例
例:
平行度 0.02 | 基準 A に対して
意味:
基準面 A に対して0.02mm以内で平行に加工されている必要がある
寸法ではなく、位置関係(幾何精度)を規定する点がポイントです。
平行度の測定方法
① ダイヤルゲージ+定盤で測定
最も一般的な測定方法。
手順:
- 基準面を定盤に密着させる
- 対象面にダイヤルゲージを当てる
- 左右・前後に移動させる
- 指示値の最大と最小の差を測定する
この差が平行度の実測値となる。
② シリンダゲージ・ピンゲージを併用
穴同士の平行度を測る場合に使用。
治具を使って保持し、ダイヤルゲージで傾きを確認する。
③ 三次元測定機(CMM)
大物・高精度・複数面の評価に最適。
メリット:
- 基準面と対象面の傾きを高精度で測定
- 形状評価と合わせて行える
平行度の合否判定
平行度 0.02 の場合:
ダイヤルゲージの最大値と最小値の差が 0.02mm 以内なら合格
基準面とは平面度が保証されている必要があり、定盤や研磨面を使用するのが一般的です。
基準面の設定が誤っているとNG判定が変わるため、「基準A/B/C」の指定を必ず確認することが重要です。
平行度不良が起きる原因
① ワークのクランプが偏っている
ボルトの締付け場所が偏るとワークが傾く。
② 切削工具の逃げ・たわみ
特に長刃エンドミルで起こりやすい。
③ 機械の熱変形
温度が変わると平行が崩れることがある。
④ 完全に平らではない基準面を使っている
基準面の精度が悪いと平行度測定に影響。
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まとめ
平行度は、基準面に対してどれだけ平行に加工されているかを示す重要な幾何公差です。
- 回転・摺動・組立の品質に直結
- ダイヤルゲージ+定盤で簡易測定が可能
- 基準面の精度とセット方法が正確さを左右
- 工具のたわみや固定ミスが不良原因になりやすい
加工・検査・品質管理の現場で必ず必要になる知識です。












