ボルトやナットを締め付ける際に使う代表的な工具がインパクトレンチとトルクレンチです。
どちらも似た形をしていますが、目的と構造はまったく異なります。
この記事では、2つの工具の違いと正しい使い分け方を、整備・DIYの実践例を交えて解説します。
インパクトレンチとトルクレンチの役割
| 工具名 | 目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| インパクトレンチ | 高速でボルト・ナットを仮締め・緩めする | ハンマー打撃で瞬間的に高トルクを発生。スピード重視。 |
| トルクレンチ | 指定トルクで本締めする | 設定値に達するとクリック音で知らせる。精密管理用。 |
構造の違い
インパクトレンチ
内部のハンマーが高速で打撃を繰り返し、瞬間的なトルクを生み出します。
締め付け力は大きいですが、打撃のためにトルク値を正確に制御できません。
トルクレンチ
内部にバネとカム構造があり、設定トルクに達すると「カチッ」と音がして滑る仕組みです。
ボルトを規定トルクで正確に締め付けることができます。
使い分けの基本ルール
- インパクトレンチで仮締め・緩め作業を行う
固着ボルトの脱着やスピード作業に適しています。 - トルクレンチで規定トルクで本締めする
自動車・機械のボルトは必ず規定トルクで締め付けます。
この2ステップを守ることで、スピードと精度を両立できます。
締付けトルク管理の重要性
- 締めすぎ → ボルト・ナット・座面の破損
- 締め不足 → 緩み・脱落・漏れの原因
たとえば、自動車ホイールナットの場合は、軽自動車で約90〜100N・m、普通車で110〜120N・mが一般的な目安です。
インパクトレンチではここまで精密な制御はできません。
インパクトレンチとトルクレンチの組み合わせ使用例
ホイールナット交換時
- インパクトレンチでナットを外す
- タイヤ装着後、ナットを軽くインパクトで仮締め
- 車を下ろしてからトルクレンチで規定トルク本締め
機械組立・配管設備など
仮止めをインパクト、最終締付けをトルクレンチで行うと均一なトルクで仕上げられます。
おすすめの組み合わせ
| 工具 | 製品名 | 特徴 | 購入リンク |
|---|---|---|---|
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| トルクレンチ | 東日製作所 QL100N4 | クリック式で確実なトルク管理。整備士定番モデル。 | Amazon| 楽天 |
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正しい管理・メンテナンス
- トルクレンチは使用後に設定値を「0」に戻す。
- 落下させると精度が狂うため取扱いに注意。
- 年1回のトルク校正を推奨(工業用は必須)。
- インパクトレンチはバッテリーやソケットを定期点検。
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まとめ
インパクトレンチとトルクレンチは、目的が異なる補完関係にあります。
インパクトレンチで作業スピードを上げ、トルクレンチで精密な締付けを行うことで、安全かつ確実な整備が可能になります。
この2本を正しく使い分けることが、プロ整備士やDIY上級者の基本です。












