ボルト・ナットを素早く締めたり緩めたりできる便利な工具がラチェットレンチです。
狭い場所での連続作業や効率重視の整備には欠かせません。
本記事では、ラチェットレンチの仕組み・種類・使い方・選び方をわかりやすく解説します。
ラチェットレンチとは?
ラチェットレンチは、ハンドルを一方向に動かすだけでボルトやナットを締め付けられるラチェット機構付きレンチです。
戻す際には空転するため、工具を付け替えずに連続作業ができ、作業効率を大幅に高めます。
主な特徴
- 一方向回転で効率的な締付け・緩めが可能。
- 狭い場所でも短いストロークで作業できる。
- ソケットを交換すれば幅広いサイズに対応可能。
ラチェットレンチの構造と仕組み
内部に「爪(ギア)」と「スプリング」を組み込んだ機構で、一方向だけ回転を伝え、逆方向では空転します。
切替レバーにより「締める(右回転)」と「緩める(左回転)」を瞬時に切り替えられます。
構成パーツ
- ヘッド部: ソケットを取り付ける差込角(6.35mm/9.5mm/12.7mmなど)。
- ギア部: 回転方向を制御するラチェット機構。
- 切替レバー: 正逆回転の切替スイッチ。
- ハンドル: 力を伝える持ち手部分。形状によって操作感が異なる。
ラチェットレンチの種類
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| ソケットタイプ | ハンドルにソケットを取り付ける最も一般的なタイプ。 | 自動車・機械整備 |
| ギアレンチ(板ラチェット) | スパナやメガネ形状にラチェット機構を内蔵。 | 狭所の連続作業・DIY |
| フレックスラチェット | 首振り機構付きで角度調整が可能。 | 障害物の多い箇所 |
| スイベルラチェット | 全方向に動かせる可動ヘッド型。 | 配管・エンジン周辺 |
| T型ラチェット | 高トルク作業向け。両手で均等に力をかけられる。 | 大型ボルト・建設設備 |
差込角サイズ別の特徴
| 差込角 | 対応ボルト径 | 用途 |
|---|---|---|
| 6.35mm(1/4インチ) | M4〜M8 | 軽整備・電子機器 |
| 9.5mm(3/8インチ) | M6〜M12 | 自動車・バイク整備(最も汎用) |
| 12.7mm(1/2インチ) | M10〜M16 | 大型設備・高トルク作業 |
おすすめのラチェットレンチ
| 製品名 | 特徴 | 購入リンク |
|---|---|---|
| KTC ラチェットハンドル BR3E | 72枚ギアで細かい送り角を実現。プロ整備士に定評あり。 | Amazon| 楽天 |
| TONE 首振りラチェット RH3FH | フレックスヘッドで狭所にも届く。高トルクにも対応。 | Amazon| 楽天 |
| DEEN ラチェットハンドル DR3H | ギア感触が滑らかで、工具ファンにも人気の高級モデル。 | Amazon| 楽天 |
| SK11 ギアレンチセット SRG-8M | 板ラチェットタイプ。DIYや家庭整備におすすめのセット。 | Amazon| 楽天 |
ラチェットレンチの使い方
① ソケットを正しく装着
差込角サイズを確認し、しっかり奥まで差し込みます。
緩んでいると作業中にソケットが外れて危険です。
② 正逆回転を切替える
切替レバーで「締める」「緩める」を選択します。
作業前に必ず方向を確認しておきましょう。
③ 小刻みに動かして連続作業
ストロークの小さな往復運動で効率よく作業します。
特にギア数の多いモデル(72歯以上)は、狭い場所での操作性に優れています。
④ 本締めは他の工具で行う
ラチェットはあくまで「早回し用」。
最終的な締付け(本締め)はスピンナハンドルやトルクレンチを使用します。
ラチェットレンチ使用時の注意点
- 過大トルクをかけるとギア破損の恐れあり。
- 水分や油分の多い現場では滑り止めグリップ付きが安心。
- ギア内部に異物が入ると空回りや破損の原因になる。
- 定期的にグリスアップし、動作を滑らかに保つ。
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まとめ
ラチェットレンチは、狭い場所でも効率よく作業ができる便利な締付け工具です。
ギア数やヘッドの形状を選ぶことで、作業環境に合わせた快適な操作性を実現できます。
メンテナンスを欠かさず行い、長く滑らかな動作を保つことがプロ整備士の基本です。












