
プリセッタ(Tool Presetter)は、工作機械で使用する切削工具の長さ・径などを事前に測定・登録する装置です。
加工前に工具データを正確に把握することで、段取り時間の短縮や加工精度の向上を実現します。
この記事では、プリセッタの仕組み・種類・使い方・代表メーカーをわかりやすく解説します。
プリセッタとは?(基礎知識)
プリセッタ(Tool Presetter)は、マシニングセンタや旋盤に取り付ける前に工具を測定し、工具長・工具径・オフセット値などを自動で取得する装置です。
測定結果を機械側にデータ転送することで、セットアップ作業を効率化し、初品精度を安定させます。
生産現場では「工具の事前測定機」や「ツールプリセッター」とも呼ばれています。
プリセッタの役割とメリット
- 加工前に工具の寸法を正確に測定できる
- 段取り時間を大幅に短縮
- 初品不良を防止し、生産安定性を向上
- 複数機への工具データ共有が容易
- 自動補正・管理により工具の摩耗を予測可能
プリセッタの仕組み
プリセッタは、工具をスピンドルホルダーにセットし、CCDカメラや光学センサーで先端位置を測定します。
測定結果はディスプレイ上で確認でき、工具長や径が自動演算されます。
データはUSB・LAN・NC通信などで工作機械に転送され、機械側のオフセット設定を自動化します。
近年では、バーコード・RFIDタグを使った工具ID管理と連携するモデルも増えています。
主な種類
- 手動式プリセッタ:ハンドル操作で測定軸を合わせるシンプルタイプ。小規模工場に最適。
- 自動式プリセッタ:モーター駆動で自動測定・データ転送が可能。高精度加工向け。
- NC連携型:工具情報を直接NC装置に転送できる高機能モデル。
- ポータブル型:小型で現場に持ち運べるタイプ。メンテナンス用途にも便利。
構造と測定項目
- 主軸ホルダー:BT・HSK・CAPTOなど、工具シャンク形状に対応。
- カメラユニット:工具先端を拡大表示し、エッジを高精度に認識。
- スライドテーブル:縦・横方向に位置を微調整可能。
- 測定項目:工具長(Z)、径(X)、振れ、刃先角度など。
- 制御画面:測定結果を数値・画像で確認できるディスプレイ。
主な用途
- マシニングセンタ・CNC旋盤の工具長設定
- 工具交換・新規段取り時の事前測定
- 多品種少量生産における段取り効率化
- 摩耗・チッピング確認による工具管理
- 加工精度維持のためのオフライン補正
代表的なプリセッタメーカーと特徴
BIG DAISHOWA(ビッグ大昭和精機)
高精度測定と安定構造で国内シェア上位。BT・HSK・CAPTOなど多様なシャンクに対応。
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マーポス(Marposs)
イタリアの測定機器メーカー。自動測定・データ通信対応の高機能プリセッタを展開。
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ZOLLER(ゾラー)
ドイツの世界的メーカー。工具測定・管理ソフトウェア連携に強み。
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日研工作所(NIKKEN)
工具保持具メーカーとして有名。高剛性構造の手動プリセッタをラインナップ。
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DMG MORI(ディーエムジーモリ)
工作機械メーカーとして、NC連携型プリセッタを自社製品に組み込み展開。
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メーカー比較表
メーカー名 | 特徴 | 代表モデル | 対象ユーザー |
---|---|---|---|
BIG DAISHOWA | 国内シェアNo.1・高精度測定 | BIG-Pシリーズ | 製造・精密加工業 |
Marposs | 自動測定・NC連携に強い | MIDAシリーズ | 量産ライン |
ZOLLER | 高性能・ソフト連携対応 | smile/pilotシリーズ | 精密加工・金型業 |
日研工作所 | 堅牢構造・シンプル操作 | NSPシリーズ | 小規模工場 |
DMG MORI | NC機とのデータ連携機能 | Integrated Presetter | 工作機械ユーザー |
導入時のポイント
- 保有工具のシャンク規格(BT・HSK等)に対応しているか確認
- 手動か自動式か、運用規模に合わせて選定
- NC通信・ネットワーク連携機能の有無を確認
- 精度(±2μm以下が理想)と再現性を重視
- ソフトウェアの操作性・メンテナンス性も考慮
WEBでの購入・比較
プリセッタは業務用機器として専門通販や工具商社でも販売されています。
Amazonでプリセッタを探す
楽天市場でプリセッタを探す
Yahoo!ショッピングでプリセッタを探す
Q&A
Q. プリセッタを導入するとどんな効果がある?
A. 段取り時間の短縮・加工精度の安定化・工具データの一元管理が実現します。
Q. 手動式でも十分?
A. 少数品種の加工や単品段取りでは手動式でも十分効果があります。多品種生産では自動式が効率的です。
Q. NC機とデータ連携するには?
A. LAN・USB・バーコード・RFIDなどの通信方式をサポートするモデルを選定するのがポイントです。