トルクレンチの使い方と選び方|精密締付けの基本と管理方法
ボルト・ナットの締付けを「感覚」ではなく「数値」で管理できるのがトルクレンチです。
自動車・バイク整備、機械組立、建設設備などでの締付けトラブルを防ぐために欠かせない精密工具です。
この記事では、トルクレンチの種類・使い方・選び方をわかりやすく解説します。
トルクレンチとは?
トルクレンチは、ボルトやナットを規定のトルク値(締付け力)で締めるための工具です。
締めすぎによる破損や、緩みすぎによる脱落を防ぐため、正確なトルク管理が求められる場面で使用されます。
主な用途
- 自動車・バイクのホイールナット締付け
- エンジン・機械部品の組立
- 建設・設備のボルト締結管理
- 製造ライン・品質管理工程
トルクレンチの種類
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| プレート式 | 針が目盛板を指すタイプ。安価で構造がシンプル。 | 簡易測定・DIY |
| ダイヤル式 | 目盛ダイヤルを見てトルクを確認。精度が高い。 | 産業・品質管理 |
| プリセット型(クリック式) | 設定トルクに達すると「カチッ」と音が鳴る。最も一般的。 | 自動車整備・機械組立 |
| デジタル式 | 電子制御で数値をデジタル表示。高精度かつ記録管理可能。 | 製造・検査ライン・研究用途 |
トルクレンチの単位とトルク値の目安
一般的に「N・m(ニュートンメートル)」単位で表記されます。用途ごとの目安は以下の通りです。
| 用途 | 目安トルク値(N・m) | 備考 |
|---|---|---|
| 小型家電・電子機器 | 1〜5 | 精密トルクドライバー使用 |
| バイク・自転車部品 | 5〜30 | ハンドル・ブレーキ等 |
| 自動車ホイールナット | 80〜120 | 一般乗用車 |
| 機械組立・産業設備 | 100〜300 | ボルト径に応じ調整 |
トルクレンチの使い方
① トルク値を設定する
本体グリップを回して、締付けたいトルク値(例:100N・m)に合わせます。
クリック式の場合、ロック機構を解除してから調整し、再び固定するのが基本です。
② ボルト・ナットにセット
ソケットを装着し、対象のボルトにまっすぐ差し込みます。
角度がついた状態で力をかけると、トルク誤差が生じるため注意が必要です。
③ 締付ける
一定速度でトルクをかけ、「カチッ」と音が鳴ったら締付け完了です。
それ以上は力をかけないようにしましょう。
④ 使用後はトルク値を0に戻す
内部スプリングを保護するため、使用後は必ず設定値を0(最小値)に戻して保管します。
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|---|---|---|
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トルクレンチ使用時の注意点
- クリック音が鳴った後にさらに力をかけない。
- 角度をつけた状態で使用すると誤差が生じる。
- トルク管理は「締付け時」だけでなく「緩め時」も注意。
- 定期的に校正を行い、測定精度を維持する。
トルクレンチの保管・メンテナンス
- 使用後は最小値に戻して保管。
- 湿気・直射日光を避けた場所で保管する。
- 年1回程度、校正機関で点検・調整を行うと安心。
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まとめ
トルクレンチは、締付け力を「見える化」できる精密工具です。
正確なトルク管理によって、機械の信頼性・安全性を大きく高めることができます。
作業内容に合ったタイプを選び、定期的な校正と正しい保管で、常に正確な締付けを維持しましょう。






