トルクス(Torx)ビットは、星形(6点)の専用形状で高い伝達トルクとなめにくさが特徴のビットです。
自動車・バイク・電動工具・家電などの量産組立で広く使われ、DIYや整備でも出番が増えています。
本記事では、六角ビット(ヘックス)との違い、サイズの見方、選び方と使い方、よくある失敗対策までを解説します。
トルクスビットの基礎知識
トルクスは「T+数字(例:T10、T25)」でサイズ表記される星形規格です。
ビット先端がねじ頭(トルクスねじ)の溝に深くフィットし、接触面積が広いため、カムアウト(浮き上がり)しにくく、効率よくトルクを伝えられます。
サイズの見方(代表例)
| 表記 | 代表用途 | 参考 |
|---|---|---|
| T6〜T10 | 精密機器、小型家電、電子機器 | ビットは精密用を推奨 |
| T15〜T25 | 電動工具、家電、家具金具、自転車 | DIYで最も出番が多い帯域 |
| T27〜T40 | 自動車・バイク整備、建築金具 | 長ビットや衝撃対応が便利 |
| T45〜T60 | 足回りや大径ボルトの補助 | 高トルク前提、工具強度に注意 |
イジリ止め(セキュリティ)付き
ねじ溝の中央に突起がある「タンパープルーフ(いじり止め)」には、先端に穴の空いたセキュリティトルクス(TR)ビットが必要です。
表記は「T25H」「T25TR」などブランドにより差があります。
六角ビット(ヘックス)との違い
- 形状: 六角は六角柱状の溝、トルクスは6点星形。
- カムアウト耐性: トルクスは浮きにくく、同トルクでねじ頭を傷めにくい。
- サイズ互換: 六角(H4/H5等)とトルクス(T20/T25等)は互換しません。
- 用途: 六角は六角穴付きボルト(キャップボルト等)、トルクスはトルクスねじ用。
適切なビット選びのポイント
- サイズ一致が最優先: ねじ頭に奥まで差し込み、ガタつきゼロを確認。
- 用途でタイプを選ぶ: 手回し用・電動ドライバー用・インパクト対応(衝撃対応)で軸形状と強度を確認。
- 材質と表面処理: S2鋼や衝撃対応、チタン/ブラック処理など耐久性で選定。
- イジリ止め対応: 中央穴付きのTRビットを同梱するセットが便利。
- 長さ: 狭所はロング、奥まった箇所はエクステンション併用。
正しい使い方とコツ
- 垂直を保つ: ビットとねじを正対させ、押し付けながら回す。
- 下穴・潤滑: 木材は下穴推奨、金属は潤滑でねじ破損を防止。
- 固着対策: さび止め剤や浸透潤滑を使用し、無理な高トルクを避ける。
- インパクト使用: 衝撃対応ビットを使用。短い打撃で様子見しながら。
おすすめトルクスビット/セット(2025年版)
| 製品名 | 特徴 | 購入リンク |
|---|---|---|
| VESSEL(ベッセル) トルクスビットセット(いじり止め対応) | 主要サイズを網羅。精度が高くカムアウトを抑制。電動対応。 | Amazon| 楽天 |
| ANEX(アネックス) セキュリティトルクスドライバー/ビット | TR(いじり止め)対応。精密〜T40まで幅広く、整備・分解に最適。 | Amazon| 楽天 |
| Wera(ヴェラ) トルクスビット・ロングビットセット | 精度・耐久性に定評。ロングで奥まったねじにも届く。衝撃対応モデルあり。 | Amazon| 楽天 |
よくある質問(Q&A)
Q. T25のねじにT20ビットは使えますか?
A. 使えません。ガタつきでねじ頭やビットを損傷します。必ず同サイズを使用してください。
Q. イジリ止めねじは普通のトルクスで外せますか?
A. いいえ。中央穴付きのセキュリティトルクス(TR)ビットが必要です。
Q. インパクトドライバーで使うとビットが折れやすい?
A. 衝撃対応(インパクト用)を選べばOK。無理な連続打撃は避けてください。
関連記事
まとめ
トルクスは「なめにくい・トルクをかけやすい」実用的なねじ規格です。
サイズ一致・いじり止め対応・用途に合ったビットタイプを押さえれば、DIYから整備まで安全かつ効率的に作業できます。







