冷却塔とは?仕組み・種類・メンテナンスポイントをわかりやすく解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

冷却塔(クーリングタワー)とは、水を蒸発潜熱を利用して冷却する設備で、空調設備・チラー・工場のプロセス冷却など、多くの産業で使用されています。

「水を冷やす装置」ですが、冷凍機(冷媒式)とは仕組みが異なり、外気と水を接触させることで効率よく冷却できるのが特徴です。

この記事では、冷却塔の仕組み、種類、運用ポイント、メンテナンスの注意点などをわかりやすく解説します。



冷却塔(クーリングタワー)とは?

冷却塔は、循環水を外気と直接または間接的に接触させ、蒸発による気化熱で冷却する装置です。

主な用途:

  • チラー(冷却水循環装置)の熱交換
  • 空調設備(ビルマル・ヒートポンプ)
  • 工場プロセス冷却(射出成形・食品・化学など)
  • 発電プラントの復水器冷却

冷却塔は、建物・工場の「排熱調整」を担う重要なインフラ設備です。

冷却塔の冷却原理(気化熱)

冷却塔の冷却は、以下の2つの作用で成り立っています。

  • ① 気化熱:水が蒸発するとき周囲の熱を奪う
  • ② 顕熱交換:空気との温度差で熱が移動する

冷却塔内部では、散水された水が充填材(フィル)を流れ落ち、上昇する外気と接触することで蒸発します。

このとき蒸発した水が熱を奪い、残った水が冷却されます。

冷却塔の主な種類

① 開放式冷却塔(オープンタイプ)

循環水が外気と直接接触する最も一般的な方式。

特徴:

  • 構造がシンプル
  • 冷却効率が高い
  • 水質管理が重要(スケール・スライム・腐食)

② 密閉式冷却塔(クローズドタイプ)

配管内の循環水を外気に直接触れさせず、コイルを介して冷却。

特徴:

  • 配管腐食が少ない
  • 水質管理の負荷を軽減
  • 初期コストはやや高い

③ ハイブリッド冷却塔

開放式+密閉式の中間。水質と効率のバランスを重視する現場向け。

冷却塔の構成部品

部品名 役割
ファン 空気を塔内に吸引・排出する
フィル(充填材) 水と空気の接触面積を増やす
散水装置 水を均一に散水
受水槽 冷却された水を溜めて循環
ドリフトエリミネータ 水滴飛散を防ぎ外部への水ロスを減らす



メンテナンスのポイント

① 水質管理(最重要)

冷却塔は外気に触れるため、汚れ・藻・スケールが発生しやすい設備です。

管理項目:

  • スライム(微生物)の除去
  • スケール沈着(カルシウムなど)の防止
  • 腐食抑制(配管・ポンプ保護)
  • レジオネラ菌の抑制

必要に応じて薬注装置(水処理剤)を併用します。

② ファン・モーター点検

  • ベルトテンション確認
  • 軸受グリスアップ
  • 振動・異音チェック

③ フィル(充填材)の清掃

汚れが蓄積すると冷却効率が大幅に低下します。

④ ドリフトエリミネータの点検

破損すると水滴が外部に飛散 → 周囲の錆や機器故障の原因に。

⑤ 季節ごとの運転確認

  • 夏:最大負荷の性能確認
  • 冬:凍結防止策(ヒーター・循環運転)

冷却塔のよくあるトラブル例

  • 水温が下がらない: フィル詰まり・風量不足
  • 異音・振動: ファンベルトの劣化
  • 水漏れ: 配管腐食・パッキン劣化
  • スケール付着: 水処理不良

関連記事

関連書籍

まとめ

冷却塔は、工場・空調設備の排熱を効率よく冷却するための重要設備です。

  • 蒸発潜熱を利用した高効率な冷却が可能
  • 開放式・密閉式・ハイブリッドの3種がある
  • 水質管理・フィル清掃・ファン点検が最重要
  • 性能低下は設備全体の負荷増加につながる

適切な運用とメンテナンスにより、冷却効率の維持・省エネ・設備寿命の向上が期待できます。



  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

DIYにおすすめの主要ECサイト比較

生産財や副資材、消耗品、交換部品など、

近年では、インターネットで何でも購入できる時代になりました。

そんなECサイトをまとめた記事を公開中!

是非、参考にしてみてください。


DIYにおすすめの主要ECサイト比較へ