PID制御とは?工場設備での使い方と仕組みをわかりやすく解説

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PID制御(Proportional-Integral-Derivative control)は、工場設備・FA装置・プロセス制御でもっとも広く使われている自動制御方式です。

温度・圧力・速度・流量・位置など、多くの物理量を安定して制御できるため、産業オートメーションの基盤となっています。

この記事では、PID制御の仕組み、P・I・D の役割、調整方法、工場設備での具体的な使い方をわかりやすく解説します。



PID制御とは?

PID制御は、目標値(設定値)と実際の値(PV)の誤差をもとに、以下の3要素を組み合わせて制御量を決める方式です。

  • P:比例(誤差に比例して制御)
  • I:積分(誤差を時間で累積)
  • D:微分(変化の勢いに応じて制御)

3つをバランス良く使うことで、応答の速さ・安定性・精度を両立します。

P・I・D 各要素の役割

P(比例)制御

誤差が大きいほど強く制御。

ただし、P だけではオフセット(残差)が消えない。

I(積分)制御

誤差を時間で累積し、ゼロに近づける。

設定値への追従性が向上。

ただし、入れすぎると振動する。

D(微分)制御

変化の勢いを抑えて安定させる。

ノイズで暴れやすいため使用量に注意。

PID制御の式(イメージ)

操作量 = P × 誤差 + I × 誤差の積分 + D × 誤差の微分

これにより、現在・過去・未来の振る舞いを予測しながら制御します。



PID制御が使われる工場設備

  • 温度コントローラ(ヒータ制御)
  • インバータの速度制御
  • サーボモータの位置制御
  • エアシリンダの圧力制御
  • 流量・圧力のプロセス制御

産業機械のほぼすべてで活用されています。

PID調整(チューニング)の基本

  • Pを上げる:応答が早くなるが振動しやすい
  • Iを上げる:誤差が消えるが動作が重くなる
  • Dを上げる:振動を抑えるがノイズに弱い

実務では「P → I → D」の順で調整するのが一般的です。

PID制御がうまくいかない原因

  • 負荷変動が大きすぎる
  • センサー精度が低い/ノイズが多い
  • D要素が強すぎて振動が増大
  • 制御対象が非線形

その場合は、

  • フィードフォワード
  • モデル予測制御(MPC)

などの高度制御が使われることもあります。

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まとめ

PID制御は、産業設備を安定して制御するための基本技術です。

  • P・I・Dを組み合わせて誤差を抑える
  • 温度・流量・速度・位置制御で広く利用
  • 設定は P → I → D の順で行うのが基本
  • 工場の品質・生産性に直結する重要技術

PID制御の理解は、あらゆる施設・自動機の最適運用に不可欠です。



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