サーボモータは、位置・速度・トルクを高精度に制御できるアクチュエータで、工作機械、ロボット、搬送装置、製造ラインなど多くの産業機器に使われています。
似た用途で使われるステッピングモータと比較されることが多いため、両者の違いを理解しておくことで、最適なモータ選定が可能になります。
この記事では、サーボモータの仕組み、特徴、ステッピングモータとの比較、用途ごとの選び方をわかりやすく解説します。
サーボモータとは?
サーボモータ(Servo Motor)は、フィードバック制御によって位置・速度・トルクを正確に制御できるモータです。
構成は次の3要素です。
- サーボモータ(ACまたはDC)
- エンコーダ(位置検出)
- サーボドライバ(制御装置)
サーボドライバがエンコーダから位置情報を取得し、モータ出力を常に補正することで高精度な動きを実現します。
サーボモータの特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 位置精度 | 高精度(フィードバック制御) |
| 速度制御 | 広い速度範囲で制御可能 |
| トルク特性 | 低速でも大きなトルクを維持 |
| 応答性 | 高速応答、加減速に強い |
| 用途 | ロボット、搬送機器、工作機械など |
ステッピングモータとは?
ステッピングモータ(ステッパモータ)は、パルス信号に応じて一定角度ずつ回転するモータです。
特徴:
- 位置決めが簡単(オープンループ)
- 低速トルクが大きい
- 構造がシンプルで安価
一方で、負荷が重い場合や高速域では脱調(ステップ抜け)することがあります。
サーボモータとステッピングモータの違い
| 項目 | サーボモータ | ステッピングモータ |
|---|---|---|
| 制御方式 | フィードバック制御(クローズドループ) | オープンループ制御 |
| 位置精度 | 非常に高い | 中程度(脱調の可能性) |
| 速度 | 高速・広範囲 | 低〜中速域に強い |
| トルク特性 | 低速でもトルク維持 | 低速トルク大/高速は弱い |
| 価格 | 高い | 安価 |
| 用途 | 精密制御・高速動作 | 中小型装置の位置決め |
用途別の使い分け
サーボモータが適するケース
- 高速動作が必要
- 位置精度 ±数μm〜数十μm が必要
- 負荷変動が大きい
- 加減速が頻繁に発生する
ステッピングモータが適するケース
- 低速の位置決め
- 負荷が小さい
- コストを抑えたい
- 構造を簡単にしたい
サーボモータ選定のポイント
- 必要トルク(定格・最大)
- 慣性比(モータ慣性と負荷慣性の比)
- 速度・加速度要求
- 駆動方式(ACサーボ/DCサーボ)
- ドライバとの対応関係
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まとめ
サーボモータはフィードバック制御による高精度な位置決め・速度制御が特徴で、ステッピングモータは構造が簡単で低速トルクに強く、コストメリットがあります。
- サーボ:高精度・高速・高負荷向け
- ステッピング:低負荷・低速・安価な位置決め
用途に応じて最適なモータを使い分けることで、機械性能とコストバランスの両方を最適化できます。












