スプロケットやプーリーなど、シャフトに取り付け場合に、多くの場合は軸とハブ側の内径にキー溝を加工し、キーを打ち込むことで結束します。
キー溝による固定の場合、かじりの原因になったり、シャフトの加工費が高価になったりする問題点がありました。
近年では、椿本チエインのパワーロックやアイセルのメカロックなどに代表される摩擦式締結具「キーレスブッシング(結束継手)」が使用されるようになり、キー溝を利用せずとも回転体をシャフトに固定できるようになりました。
このページでは、摩擦式締結具「キーレスブッシング(結束継手)」とは何か。どのような方法で固定するのか。主な製造メーカーについて解説します。
摩擦式締結具キーレスブッシングとは
摩擦式締結具キーレスブッシングとは、シャフトと回転体をくさび原理による摩擦によって固定する機械要素部品です。
使用される回転物には、プーリーやスプロケットなどの歯車類があります。
製造メーカーは様々で、椿本チエインのパワーロックやアイセルのメカロック、三木プーリーのポジロックなどがあります。
一般名称が「キーレスブッシング」や「摩擦式締結具」にもかかわらず、どのメーカーの商品であってもメーカーの商品名である「パワーロック」や「メカロック」などと呼ばれています。
キーレスブッシングのくさび式構造
摩擦式締結具キーレスブッシング(結束継手)は、くさび式の構造でシャフトと回転物を固定します。
上記の図は、シャフトにスプロケットをキーレスブッシングで固定している物ですが、テーパー構造のキーレスブッシングを締め付けるとシャフト側とスプロケット側の方向に力が加わり、くさびのように固定されます。
キーレスブッシングでの固定・取り外し
キーレスブッシングには、締付用のタップ穴と取外し用のタップ穴の2種類のタップ穴が開いています。
片方のタップ穴は内径側は通り穴で外径側はタップとなっており、もう片方のタップ穴は内径側のみがタップ穴となっています。
キーレスブッシングの結束方法
スプロケットやプーリーなどの回転体をシャフトに固定する方法は、キャップボルトを外径側に切られたタップ穴にねじ込み、キーレスブッシングを結束します。
キーレスブッシングの外し方
スプロケットやプーリーなどの回転体をシャフトから外す方法は、キャップボルトを内径側に切られたタップ穴にねじ込み、外径側を押し出します。
キーレスブッシングのメーカーと商品名
- 株式会社椿本チエイン「パワーロック」
- アイセル株式会社「メカロック」
- 三木プーリ「ポジロック」
- 片山チエン株式会社「カナロック」
- 株式会社産機「クランプエレメント」
※詳しくは「【全5社】キーレスブッシングのメーカーと商品名まとめ」を参考にしてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。キーレスブッシングは、効率的な結束ができる機械要素部品かと思います。
シャフトのかじりやキー溝加工を無くしての加工費削減など、キーレスブッシングを用いて是非、検討してみてください。